今日、おやすみで暇でしたのでわたしは部室へと向かいました。
ゴールデンウィーク中は部活は無いのですが、部室にはさまざまな本があるのでわたしは大好きなのです。
部長から受け取った合い鍵(ほんとうは禁止されています)を使ってわたしは鍵を開けました。
ーー開いて、いる?
たしか、合い鍵は部員全員に配られていたはずです。
ということはーー?
わたしは、恐る恐る扉を開けました。
「し、失礼します」
見ると、部室にはすでに部員が揃っていました。
ここ最近は休んでいた副部長も、です。
「おはよう、灯夏」
わたしは、呼び掛けられ、時計を確認しました。
10時…。
みなさんは、これよりも前に来ていらしたようです。
「おはようございます、みなさん」
「おはよう、不知火」
副部長である遠江くんはさわやかに、
「…おはよう」
四月一日くんは、読んでいる本から少しだけ顔をあげ、言いました。
「あ、そういえば副部長。体の方は大丈夫でしたか?」
「あ、ああ。だいぶよくなったよ」
副部長は少し決まりが悪そうに言いました。
なぜなのでしょうか?
…あとで、日誌を読むことにしましょう。
「みんな集まって暇なのねぇ。わたしも言える立場じゃないけれど」
部長は呑気に呟きました。
「…部長、勉強は良いんですか? 受験生だった気がしたのですが」
四月一日くんは、冷静に、部長へ現実を伝えます。
「…だ、大丈夫…じゃない…かも? え、でも、ゴールデンウィークくらい満喫したいじゃない!」
「はぁ。別に部長がいいならいいんですけどね。ですが、今、この時、勉強をしている受験生がたくさんいるのをお忘れなく」
「ひ、ひぃ…?!」
部長はおののいたようで一歩後ずさりをしました。
「…部長、満喫できればあなたは勉強をするのだろうか?」
副部長が言いました。彼には何か考えがあるようです。
「し、しますっ!」
「そうか。なら、ゴールデンウィーク中に部員でどこかに行って思い切り遊ぶのはどうだろうか?」
わたしは、その案を聞きすこしだけ体の血が踊ったような、そんな気がしました。
「! 良い考えじゃない! さっすが遠江ね!」
部長も満面の笑みを浮かべています。
「じゃあ、あさっての土曜日なんてどうだ?」
わたしと部長は勢いよく頷きました。四月一日くんは、すこしだけ面倒くさそうに、だけどもしっかりと頷きました。
なにも予定が無いと思っていたゴールデンウィークですが、なんだか楽しそうな予感です!