本日、初日を迎えます!
演出の高橋正徳です。
『越前竹人形』、主演の玉枝を演じます、山本郁子さんを紹介します!!
玉枝はいろいろな表情を見せる役です。
状況や環境に適応し、それでいて媚びているわけではなく、懸命にしなやかに生きていく。
稽古場でも玉枝を演じる郁子さんはその瞬間その瞬間にいろいろな表情を見せてくれました。相手役だけでなく客席側で観ている演出者や共演者をもドキッとさせてくれたり、朗らかな気持ちにさせてくれたりします。
僕が初めて郁子さんに出会ったのは、文学座の研修科に上がりたての右も左もわからないスタッフだった時に、「ペンテコスト」という文学座アトリエ公演でテロリストのリーダー役をしていました。多国籍の移民のリーダーとして教会に立てこもる役を力強くこなしていました。
そうかと思えば佃典彦さんの「ぬけがら」では主人公の男性に三行半を突きつけて家を出てしまうダンスの先生だったり、「ゆれる車の音」では宮崎県油津の小料理屋のわけありで色っぽい女将、今回舞台監督の黒木さんが演出した久保田万太郎作品では江戸弁の台詞の中に品を感じさせてくれました。
その芝居、その役ごとにいろいろな顔を見せてくれました。
そんな郁子さんを、袖からずっと見続けてきて、折原玉枝には山本郁子さんしかいないと
「業の深い女」を力強くしなやかに美しく演じてくれるのは山本郁子さんが相応しいと
今回配役させて頂き、稽古場で時間をともにしてきました。
水上勉さんの「越前竹人形」は映画では若尾文子さん、舞台では森光子さん、太地喜和子さん、三田佳子さんなど数々の女優が演じてこられました。
紀伊國屋ホールではこれまでの演じてきた女優さんとはまた違う玉枝に出会えると思います。
高橋正徳