小説「庭の封印」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

わたしは幽霊が出るのを待っている。さっき石を動かしたから。しかし、結界はわたしを守ってしまうのだ。悲しい。というかむなしい。誰も来ない資料館の、カウンターで1日受付をしている、地味な大学生みたい。むなしい。わたしは封印を解いたのに。
実家の庭はややこしい。
いろいろなものを封じている。
おみこしの上の飾り付けとか、石灯篭の脚とか、鍬とか鎌とか柄とか、タキギの束の腐ったのとか、さまざまに置き散らしてある。
いな、
散らしてあるというのは、しろうとめ。みいーんな意味があるのだ。ひとつでも動かすと、封じているものが甦る。
わたしは、だからけっとばしたんだ。これからチキンを食べて骨を吐くんだ。
しかし、どうしてかな。
結界はわたしを守る。どうにも、封じているわるい霊にわたしを会わせないのだとさ。
いじわるいじわるいじわる。
わたしは、会いたいのに。わるーい病気で死んで、ここに雑多に埋められた彼らに。おくり名も墓標もつけられなくて、まだここに居る彼らに、居るからこそ、封じてある彼らに。
あいたいの!
しかし、愛ある結界がわたしを敷く。どーおしてもあわせないのさ。
わたしは、健全。汚い病にかかってはならない。気分わるい、死ね。