小説「それはとても深い青」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

ガラスに映っている空を見ていて、いや違う、彼らはこんなのではなかったんだわ、と思った。
蒼穹、という言葉があるから、あおを空の色だと考え勝ちだけど、違う。よその国は知らない、でも私はここで生まれてここで育った、だからよく分かる。
あお、とはほんとうは草の深い青色。みどりが勢いよく繁っている様。いのちの雪崩れ。きっとそう言うもの。彼らはきっとそうだった。
子どものころ、同じ学校に双子の兄弟がいて、シンくんとセイくんと言った。
何もかも正反対なふたりだったけど、私はどうしてかふたりをどちらとも好きだった。
でもどちらとも親しくはなかった。遠くから見ていた、そう言うこと。
一卵性と言っていたけどほんとうに何もかも真反対。冷静で、せっかちで。浅黒くて、薄い皮膚で。陸上部で、絵画部で。甘いものが好きで、辛いものが好きで。世界史が得意で、物理が得意で。性質を羅列すると何もかも違っている。
「俺たちは完璧な人間すぎるから、完璧にならないように2つに別れて生まれてきたんだな」
仲のいい双子だったと思う。
私は今生家の近くで働いていて、昔の私たちの学校を時々近くに見る。
もう誰も居ない、亡くなってしまった学校。でもガラスに映っているから泣きそうになる。草木の、どうしようもなく深い青。