亡き父は旅行が好きで、子どもの頃長い休みにはあちこちに連れていかれたものでしたが、私はどんな場所に行っても少しずつ心もとなくなる質だったので、あまり楽しい記憶がありません。
この場所に2度と立つことはない
そう思うと目の前の景色にまったく集中出来なくなるのでした。
旅に出る目的はたくさんあると思います。人に会うためだったり美しい景色を見るためだったり、得難い何かを身につける為だったり、あるいは現状から一時的退散するためだったり。
要は非日常に身を投じることを目指しているのではないか。
今、長男の世話をして3日ほど病院に寝泊まりしていますが、これは私にとって壮絶な非日常です。
神経があちこちだめになっているので、環境の変化に対応するのが苦手です。上手く立ち回らないと、それは命とり。
そんな、ひたすら体力を削る非日常に過ごしていると、ああ、これはある種の旅なんだな、そして、
旅に出る本当の目的は、
家に帰ることなんだな
だって、もし帰る家がなければそれは旅じゃなくて生き方です。
世界が自宅ということなのです。ひとつの自宅からもうひとつの自宅へと回り続けているようなもの。
で、なくて、ひとつだけの家を持ちながら旅に出ると言うことは、一瞬の非日常に暮らして、やがては自分の家に戻る。非日常は継続すれば日常になるので、逃れるために家を目指すなら、旅の目的地はやっぱり自分の家でしょう。
そんな風に書いていくと、私の生き方は、自分の家を探していつまでもうろうろしている、それが正体に思えてきます。
家族が居て住所があるのに、私はそこで安んじない。
根を下ろす場所を見つけられない。
旅が好きな人は家が好きな人か、それがライフスタイルなだけか。
ともかくも明日には今の非日常から解放されそうなので、ホッとしています。
単にストレスを溜め込んだだけな今なのかもしれません。