小説「チグサ」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

止めろ。
お前の腐った舌にわたしの名前を乗せるな。もうこの上お前までわたしをきたない名で呼ぶな。
お前は最低な男だ。
わたしは世界の中心だ、ばかだから。ばかは自分の視点からでないと何をみることもできない。わたしは、ばかでよかった。世界の中心だから。なんだって、書き換えられる。
だからお前は最低な男だ。最低な女の男だったから最低な男だ。
ちぐさ。
血が臭いからチグサ。
そう、その女は読んでいた。わたしの血は臭いのだそうだ。
それはいい。それはそれで構わない。私の血が臭くても誰も、困らない。
しいていうなら、あの女が困っただろう。なんたってあたしの血は臭いからな!
だから、止めろ。
今さらお前の汚い息に私の音を託すな。今さらわたしに思い出させるな。わたしの血が臭かったことを知らないお前が、わたしの名前を呼ぶな。
何も知らないで最低な女の男をやっていたやつが、今に至ってわたしを
千草
と呼ぶな。
その臭い息をとめろ!
と、私はクラス会で考えていた。復讐したくて見に来た過去の未来に。
お前は汚く更けていた。足の折れたペリカンみたい。
いや、ペリカンよりたち悪くお前は生きている。