もう何十年経つだろう、会わなくなってから。これから何十年経っても、会うことは無いでしょう。でも君は私の時間世界の中に居たんです、確かに居たんです、私は、それをずっと覚えていたいのです。
深夜の熟睡は夢の真昼だ。これは、ある種の現実。生きたまま平行世界を飛ぶひとつの手段。私はそんな風に考えている。
私と君は、たまご焼きと赤いウインナーに、でっかいおにぎり2つの食事を広げて、風の強い木立の下に、居た。2人で、居た。
弁当、砂かぶらないかな、と君が言った。早く食べちゃおよ、と私が応えた。それで、一緒にから揚げを包んだおおきなおにぎりに、かぶりついたんだった。それは夢の真昼。
私はね、君に比肩する女でありたかったの。同等と言うのは生きている栄誉。
私は、君に認められたかった。しかし、君は大学行きながらすでに会社をやりくりしていたし、私とはかけ離れた人だった。
こんな、のんきなお弁当を分ける時間なんて、君には無かったの。これが、現実の夜中。
私は君と同等ではなかった。擦りきれた袖の語るもの。私の質、私の格。君にはよく分かっていた筈だ。
君に認められたかった。
認められたかった。
眼中に入らなかった、それは恋だった。
だから、私は君のことを真昼とともに夢に描く。君と私の距離の現実、それは、現実。眠りたくなる現実。