小説「黒い死体」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

ジジイが鶏肉を焼いて食っている。ガスコンロである。

最近は、店やでまるごとの鶏を売っているから良いや。と喜んでいる。
裏庭の松の木の枝をひんむいてきて、それに、まるごとの鶏をぶっ指して、塩を振って、ガスコンロで燃やしながら、火の着いた辺りをかじっている。

ジジイはバカだから、そんな食いかたが一番好きなんだそうだ。

こんだイノシシでやってみたあ

と言った、バカが、嵐だ。

私は、ガラスサッシを閉めない。風が水をつれてくるのを待っている、すると、窓辺の植物が生きる。

こいつは全く強かなやつで。

私がどんなに水やりを止めても、堪えて生き延びるんである。どんなに枯れそぼっても、未だ翠の新芽をだすんである。強かなやつなのだ。

バカなジジイが生焼けの鶏を、ガスコンロの火で焼いている、そこに塩を振って、つまり人間の食いもんとはそんなものだと思っている。

肉と塩があれば人は生きると思っている。

そんなもんかな。
そんなもんかな。

水さえあればこの草も生きていく。どんなに干からびても、水。やれば。また翠の葉かのさばってくる。

ジジイが鶏の背骨をかじっている。弟たちは眠った。嵐は依然、強くなる。
私は吹き込む雨で、ラジオが壊れないかぼんやり悩んでいる。