長編お話「芦原血祭物語」"ミツキ" | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

意味なんかないわよ、とお母さんは言った。
「大きいおばあちゃんがそうしなさいっていうから、付けたのよ。」
と言った。

「あなたのなまえは、ミツキとしました。」
と大きいおばあちゃんは私に話してくれる。私は、笹子と名前を逆に着けなくてはならなかったのだそうなんです。

どうして?
と聞いてみたことがあった。どうして私が笹子じゃいけなかったの? と。
すると大きいおばあちゃんは、
「力が強くなりすぎると、良くない。そのために、あなたたちは二人で生まれてきたのだから。
そのために、あなたたちの親を二つに分けて生ませたのだから。」

大きいおばあちゃんと言う人は。なんか、スゴい人だったんです。正直言って私もいろいろ出きる方だとは思ってるけど、足元にもおよばない。

私は、知ってる。本当なら私と笹子、二つに別れて生まれてきた私たちは、大きいおばあちゃんの生まれ変りになるはずだった。

強い力をもって生れたて大きいおばあちゃんは、自分がそのまま生まれ直してまた力を振るうのを、良くないことだと思っていた。

だから死際の大きいおばあちゃんの熱意。双子を生んだ私たちのおばあちゃんに言い聞かせた言葉なの。

上の子にも下の子にもそれぞれ娘を授かるから、
上の子にはミツキ、下の子には笹子と付けさせなさい。

忌わの際の大きいおばあちゃんの願いでした。
だから大きいおばあちゃんは私たちの力が強くなりすぎるのを防ぐために、名前をばんてんこに付けたの。

本来ルーター役をするはずの笹子に
ミツキ、
身憑き、
と付けたら、寄ってくる、人ではないなんだかわからないもの、が多くなる。

そして、演算役の私が、
笹子、
祓え具の名前、
これをもらったら、


一発でバレてしまう。

だから私たちはそれぞれに、
私はミツキ、
笹子は笹子と付けられた。

お母さんとおばちゃんは、そんなことちっともしらないんだけどね。