私は自由に出来ないままだけど、信行は必ず部屋に戻ってきて、必ず私の隣で眠った。
ある時訊いた。
「私はこれからどうなるの?」
「ずっとこのままだよ。」
と信行は答えた。
「ずっと、ていつまでの事を話しているの。」
私はぞっとして。ぞっとしたのは、ずっと、と言う言葉に何も感じなかった自分で。
「なんだ。このままが嫌なのか。」
と言って優しく生え際を撫でている信行に、嫌悪とか、そういうマイナスな感情を覚えないこと。
拘禁されている今の状態を、別に辛いと思わない自分。
私はもう何日外に出ていないだろう?分からない。
時間を計る手段が無かったし。外はずっと暗い日もあったし。信行だけがすべてだった。私が、私が世界を認識しようとする力のすべてだった。
それが嫌かと言われてしまったら。もう分からない。だから、
「大変だよ。」
と言った。
「俺は努力するよ。」
と言った信行が、いつか、大学を出るし就職もするし、他の誰かと結婚するし、子供だって出来る未来を、私は簡単に想像できた。
そしてその間、おきにいりのぬいぐるみみたいに、どんな環境に変わっても、付いていかなければならない自分の境遇も理解出来た。
ぞっとしたのは。
信行に愛されていない事よりも、そんな未来を簡単に受け入れてしまえる自分だった。
私はこの先何十年、信行の家で
“飼われたままで”
生きていくんだなと思ったら。
「嫌じゃないわ。」
と言う自分に真からぞっとした。私はどこまで自分をないがしろにするつもりだろうかと。それでも、
“それでもソウスケが死んでしまうよりはましだわ。”
と思っている。
私は自分に怖じ気づいている。