小説「夜の灯りは恐ろしい」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

子供を殺して食べているんだと言われていた。
そんな訳がない、言っているだけだ。
子供より旨いものはコンビニで買える。わざわざ殺したりしなくていい。

その家には近づいてはいけないと言われていた。
近づいたら、捕まえられて食べられる、と言う事だ。
そんなわけが無い。実際僕が小学校にいる間、同級生も下級生も、近所の友達は消えたりしなかった。
でも大人は言うのだ。
あの家には近づいちゃいけないよ、と。食べられちゃうから。

食べられる、の発想がどこから湧いたか知らない。
集落の中でその家の住人が毛嫌いされていた。そんなことだ。
確かに不気味な家だった。誰も住んでいないようで、ぼろぼろ車が一台車庫に停まっている。
昼間も人の気配がなく、夜も灯りがつくことは無い。

いや、時々つく。
時々なんだが、その家には灯りが点る。

そんなとき、僕たちこどもは早く寝ろ、早く寝ろ、と急かされて9時には自分の部屋に閉じ込められた。

何も死んだ人間ばかりが化けて出るわけじゃない。

化ける、か。
それは、変化していまうと言うことだろうな。
何かが起きて、変化してしまったのだ
その家の住人には。

だから、夜灯りが灯ると、
住人が化けて出る。そしてこどもを捕まえて食べるのだ。

そんな訳がない。
こどもが食べられるわけがない。それでも人々はその家をおそれた。たから、近づくなと言って僕たちは育てられた。