小説「花火事」 | 文学ing

文学ing

森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

燃え上がるようだ。
と、思いながら車の窓を全部開けて桜の花を見ていた。

知らない道を走っていたら、天に向かって燃え上がるような花を見つけたので、私は思わず道を辿りなおし、すぐにあったコンビニからノンアルビールとフランクフルトを買った。

「今日が見頃だなあ。」
運転中なのでアルコールは飲めない。晴天です。淡い紅色が空を目指す。こんな日に、仮ごとでも飲まない訳には行きません。

「まるで火が燃えている様だなあ。」
私はフランクフルトをかじりながら思った。
フランクフルトをかじって、ビールをすすりながら、

ああ、この木はまるで命を出し尽くしたいようだ、と感じている。
何をそんなに生き急いでこんなにも凝らした花を咲かせるのだ。

私はビールを飲みおえて、またさっきの道に戻るべく車を走らせた。

…何年かの後、その桜の木があった辺りが原因不明の山火事で焼き尽くされたと、知った。