長編お話「普遍的なアリス」の10 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

大学図書館はちゃちだ。

私はレポートの資料を探すのと同時に、モレナについて何か手がかりが無いだろうかと思って書架の間をうろうろしている。

しかし、そんなところを歩いてみたい所で、モレナの手がかりなんてありはしないのだ、当然だけど。

 

モレナというこ言葉はソウスケの思いつきで、意味なんで無いんだと思う。いろいろ調べてみたんだけど、よく分からなかった。

強いて言うとスペイン語でブルネットをさす言葉を、モレナと発音するらしい。でもそれだけ。それ以上の手がかりは無い。

でも私は何か関連する物は無いだろうか、と数少ないスペイン語の書籍の間を歩いている。だけど、

そもそもスペイン語が分かるわけではないので無意味な行為だった。

 

私は学校で、空気の読めない女、と呼ばれている。

「同じ立場だったら、絶対に嫌。」

と同じクラスの女の子に言われた。

女子の少ないクラスだけど、私は女子の友達が居ない。

「自分が結婚しているのに、旦那の妹と同居しないきょいけないなんて。」

絶対に嫌、なんだそうだ。あんた空気読めないね。と言われた。空気読めない女とは友達にはなりたくないんだろう。

 

その気持ちは良くわかる。

 

その代わりみたいに信行は私に興味を示した。いつも一人で居たから。信行は英語の授業で一緒になって、ある日信行が同じクラスの学生に

「今日の講義で当たる英文訳せない?」

と聞いて回っている時に、私にも声を掛けてきた。後から聞いたら英文は口実だったんだそうだ。

 

「あ、英語はノート作ってないの。」

と私はその時初めて信行と会話した。

「なに? どういうことなの?」

信行は聞き返してきた。

「単語の意味さえ調べてえしまえばすぐに訳せるから、テキストの単語の上に直接意味書いちゃってるのよね。」

「君、それですぐ当てられたところ訳せるのか。」

「うん。」

「すごいな。」

と信行は私の隣に座って、自分のテキストを開いた。

「頼む、今日俺が当たるところの訳教えてくれない?」

と、言ったのだった。重ねて書くけど、信行の目的は私の隣に座る事だったのだそうだ。

 

そういえば私は一人で居ることに慣れ過ぎていたな、と信行に出会ってから私は思った。ソウスケはいつもそばにいてくれたけど、

あまりにも年が離れていたので、ソウスケにはソウスケの生活がある。仕事。だから、そういつもいつも一緒には居られなかった。

 

私は信行がいつも隣に居るようになってから落ち着かなかった。人に嫌われるのは慣れているけど好かれたら、どうしたらいいのか分からない。

「なんで私と付き合ってみようと思ったの。」

と私は彼に問うた。こんな、空気の読めない女と。

「君には十分、放っておけない処があるよ。」

と答えになっていない返答をされた。

 

そして私は今日もモレナの手がかりを探している。ソウスケを死から救うために。不機嫌なドミナトリスクのお城から逃げ出す決意で。