小説「涙光」 | 文学ing

文学ing

森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

どういうわけだか今日も晴天だ。
毎年この日だけはどうしても天気が崩れない。私は今朝も差し込んでくる日の光に涙してしまうのだ、学校を止めた日だ。

あれからもう、十年経つけど私は未だに泣いてしまう。

あれが果たして正しい選択だったのかどうか解らない。解らない以上、学校に居続けても結果はたいして変わらなかっただろうが、
それにしても。

今朝も上ってきた朝日に私の目から自然と涙がこぼれた。
不可解ななみだだ。

テレビドラマを見ていると女優さんの訳の解らない涙に遭遇することがある。

なんでこんなところで泣いたりするんだ、と言うところに遭遇することがある。
(それは脚本がとてもいいか、頭のわるいひとが書いているのか。たいていはどっちかだ。)

それに、似た感覚で、私は涙を流す。止めた理由は一つしかない。学校に行くのが苦痛だった、私と話してくれる人間が一人もいなかった、先生も含めて。そんな毎日はつまらない。

いや、つまらないよりも先に、私は辛かった。

言葉を交わせる相手がいないのがこんなにやるせないことなのか、私はあの学校の群れに埋もれてそれを学んだ。どんな教科書に書いてあることよりも学校がわたしに伝えたのは

無視されることの無意味

だった。そこに意味は無かった。実るものも、もぎ取るものも見いだせなかった。

私はあの日の今日、学校を止めた。そして今年も泣いてしまう、何故こんなにも美しい朝日が流れて来るんだろうと泣いてしまう。

私が泣いてものたうっても空とか風は頓着しないのだ。そう思って、私は、朝一番の台所で泣いてしまう。