岩の感触 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

気が付いたら手が岩を掴んでいた。
そんな気分です。

二月の太宰治賞以来
またしてもの奈落に落ちてから
指も砕けて手も足も折れて目も見えないし耳も聞こえなくて、そこに壁が有るのが分かっていても登る気になんてちっともなれなかったのに、


気が付いたら手が岩を掴んでいました。

足が取っ掛かりを探しています。

いつの間にか私は壁を登り始めたようです。
手に岩の感触がする。

このところ脇目も振らずに書いてきた結果でしょうか。なんだろう
不思議な安心感があります。

壁にしがみついていることの安心感があります。
また岩を掴めて良かった、上を目指せて良かった。

そのことに、自分で安心しているみたいです。
もちろん上を目指しているだけでは上には登っていけません。私は壁岩の中腹にへばりついているだけで右にも左にも進んでは居ません。
ひょっとしたらこのまま壁に掴まって死ぬのかもしれません。

でも、
それでも今岩壁を登ろうとしている自分にほっとしています。私は自分の言葉から逃げずに済んだ。

上につく前にまた転がり落ちるにしても、私はまた岩を掴むでしょう、きっと。

壁に掴まったまま死んだとしても私は死ぬまで私の言葉と離れなかった。

そう思える限り私はまた壁を登ろうとする。それはかわらないのだと思います。