紫蘇科の植物はまるでバイオテロです。
と言ったその人が、ミントが紫蘇科の植物なんだと教えてくれた。
ちょっとそこに植えただけであっという間にこんなに繁ってしまったんです。
とその人は言った。そう言われてからなんということのない空地をよく見るようになったんだけど、
確かにたしかに。
緑色の葉っぱがたくさん繁っている。
でも、私が一茎折りとっておうちの鉢植えに生けたそれは、どういうわけかすぐ枯れてしまった。
「あまり良い環境に居すぎるというのも、却って個体のためには佳くないのかもしれませんね。」
彼は酷い家に住んでいる。
とても貧乏なんです、と彼は話す。
ミントを枯らしてしまった私は、仕方なく朝一番に彼の所にやってきてミントティーを淹れてもらうことにした。
「素敵なみどり色でしょう。」
私がプレゼントしたガラスのティーポットの中にフレッシュミントが揺れている。なんとも言えない淡いみどり色のお湯が生まれ出す。
「ほんとにそうですね。」
とお湯を沸かしてくれたその人が言った。
この人は誰が来るのも拒まない。それはこの人の体ぴったり一センチ周囲に張られた壁の内側に、
何物をも立ち入らせないからなのだと言うことを私はちゃんと知っている。