小説「バンブーピープル」 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

「なんでBPなんていい方するんだっけ?」
「あいつら親株があってそこから根分けして増えてくだろ?
そこんとこ竹みたいだから、BPって呼ぶやつが出てきたんだ。」
「ああ。それでか。
竹姫って呼んでる奴が居たのは。」
「竹姫?」
「princesでもPだろ?」
「確かにあいつらパッと見可愛いからなあ。竹姫か。いいな。俺も今度からそう呼ぼう。」
「一万人くらい顔のデータ取ってその平均出したら必然可愛くなるらしいぞ。」
「そんなこと言われたら夢もへったくれもないな。」

と言うわけで僕たちは逃げた竹姫の行方を探して23区内を巡回している。
拡声器からは繰り返し注意を呼び掛ける放送が流れている。

「SINからの連絡です。
保菌者が施設内から逃亡しています。23区内においでの方は接触に注意してください。繰り返します…S…」

「でも逃げたやつってまだ治験前の奴なんだろ?」
「念には念だよ。BPはそもそもからして披検体なんだから、
見ただけでなんか菌持ってるって思っちゃうじゃないか。」
「それでパニック起こされても大変だな。」
「そうだろう。」

竹姫はウィルス試験の為の量産型インスタントピープルである。
体内でのウィルスの繁殖を試験するためのものだから基本的に免疫と言うものがない。
竹姫が開発されてからhivや蚊の媒介するウイルスに関する試験は急進的に行われるようになり、結果として新薬の開発にも一役買っている。

が、
どういうわけか逃げ出すやつが多くて困る。
「今度の奴はすぐ逃げたから、もう体が参ってる頃だろうな。」
竹姫には免疫が無い。SINの施設から出たらあっという間に自分が外菌にやられてしまう。あっという間に体が腐る。

「ああ、あの辺に居そうだな。」
僕は野良犬がうろうろしている路地を見付けて同僚を促した。

果たして、
逃げた竹姫はもう半分腐敗していきながら試験服のまま道の隅に踞っていた。
同僚が施設に見つかった旨を連絡する。

「それにしたってこいつらなんでこういつも逃げるんだろうな。」
僕は暖かな腐臭をあげていく竹姫の腿を爪先で小突きながら言った。止めとけ、変な菌もらうぞ。
「体が育つぶん知能も高いのが問題なんだとさ。」



捕捉。
お話書き仲間の紫水さんが、
「かぐや姫を殺す話を書きました」

と教えて下さったので、その発想の面白さに乗っかりたくなり私も作ってみました。

モノがかぐや姫なのでどうしても非現実に走らざるを得ませんでした。

また別の機会に、
家の近所で起こってそうな かぐや姫殺し にトライしてみたいです。