長編お話「東尾言語」の36 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

弓道部員は夏やすみでも毎日部活をしていた。

きあん、、パン。
きあん、、、。

と規則正しく弦音が響いてくる。

実家暮らしは一週間で飽きた。
私は大学のある街に戻ろうと七日目の夜に荷物をごそごそしていたのだが、それを見て父が怒った。
お盆までおらんとは何事か。
と怒られた。怒られたんだから仕方ない。
私はお盆が過ぎるまでのさらに数日を、更に更に隙に過ごした。

昔読んだ本をもう一度読み返したり、近所のカフェにかき氷を食べに行ったり、バスに乗って遠くの池のある公園に行ったりしてどうにか暇な日々をやり過ごした。
そして大学に戻ってきている。
そして私は毎日体育館の角に座っていた。裏山の近くの、弓道場の隣の、第一だか第二だか分からない体育館の、角のテラスに。

ちょうどよく日陰なので昼間に座っていてもそんなに苦しくは無かった。暑さで蒸されると言うことはなかった。

私は下宿にいて、毎日10時くらいに起きてきて、11時ごろご飯を食べると大学にやって来た。

そしてずっと座っていた。

きあん、ぱん。
きあん、ぱん。

きあん、ぱす。

時々外れる弓の音を聞きながらただ座っていた。

そのうち来るだろうにと思っていたのに東尾先輩はなかなか体育館に姿を現さなかった。