二人の息子は私の父の分霊である。生まれ変わりとは少し違う。
父が死んだとき、彼の魂と呼ぶべきものは、散じてしまったのだろうと思った。消えたとは思わなかった。だが散じてしまったのだと。
塩の固まりを水に浸けたら、溶けて無くなってしまうけど塩であったものは尚そこにある。消えてなくなる訳じゃない。
父の魂であったものも、そんな風にして原初の精神の海みたいな場所に、細かな要素に解れて戻っていったのだろう。
だからまたこっちに、来るときは私を経由地にすると良い。
と思っていた。
思っていたらその通りになった。二人の息子が父の物であった要素をそれぞれ少しずつ持って生まれてきたからだ。
根拠はない。
だが見た瞬間に分かった。
兄を産み落とし、出血の果ての昏倒から目を覚まして始めてその姿を見た時に、直ぐに分かった。
なるほどこう言う仕組みだったのね。
私は精神の海が試した何かの実験の一工程だったんである。
弟を産み落とした時にさらに強く確信した。
彼らは父が私の体内を経由して理想的な姿で生まれてきた結果である。父は苦しみ抜いて生きて死んだ人だったから。
こんなに姿の優れたおさなごを私は他所に知らない。よく美しいこどもを玉の様と例えるが、云わば
兄は包み込む琥珀、
弟は混じりけの無い水晶。
これが父が生きて死んだ結果なんだと思った。
そして同じくそれは親子ではなく素体から派生した分体としての私の存在意義であったのだと思う。
たゆたい変化し続ける魂が、一時気まぐれに閃きを放つ様な。