「君が誰に怪我させても僕にはなにも関係ないと思うんだけどな。」
「そう言うな、お前のお茶は旨い。」
「それで、何があったの。」
とメガネの先輩は聞く。
「始めまして。3回生の梶篤志です。」
「あ、はい。
すいません。おじゃまします。」
「お邪魔もなにもなんだ。ここは僕たちが勝手に占拠してるだけだから。
ここは元の部室棟で、もうどこのサークルも入って無い、
ことになっているんです。」
「すまんな、梶。
おれがこの彼女を足かけしたこかしてしまった。
下手したら大惨事だ、」
女の子なのに。と言っているとコール音が鳴る。
「はい。あー、レアン。
うん。おれと梶と、あと新入りが一人居るよ。
雨? バイトじゃねえのか? うん。ちょうど今茶が入るところだよ。
ジャガリコ買ってこい。ジャガリコ。
お前が購買部に近いことは分かっている。
新入り? うん。女子。」
東尾言語が携帯でそんなことをはなしてから、
「レアンが来るって。」
と言った。
「坂本さんはバイトなの?」
と梶先輩が言った。
部屋のまん中に木製テーブルがあって、カセットコンロにやかんが湯気を吹いている。
梶先輩は壁に沿いに、煉瓦と板だけで作ったキャビネットからマグカップと紙コップを出した。
「うん。
こないだから水木でバイト入れたって話してたから。」
と東尾言語。
私がのこのこ着いてきたのは理由がある。
「はいどうぞ。
柿の葉茶です。
ところで君は誰ですか。」
「あ、はい、申し遅れました。
1回生の後藤むいです。」
「むい。」
「むい?」
と両先輩が揃って喋る。
「変わった名前だね。」
いただきます。と私は梶先輩に言った。
「無意味の、むい、です。」
おれももらうぞ、と東尾言語はやかんからマグカップにお茶を注いでいる。味は薄いけど爽やかな良い香りがした。
「為すかた無し、のむい、じゃないんだな。」
「あ、気にしないで。
こいつの表現が片寄っているだけだから。」
部室のドアが開いた。
「ジャガリコは? めんたいこ味だろうな。」
柿の葉茶を啜りながら東尾言語が言った。