舞台は第一次大戦下の西部戦線。イギリス兵のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)は、塹壕でドイツ軍と対峙していたが、上層部からの命令を、最前線のマッケンジー大佐の部隊に伝えに行くという、最も危険な任務に選ばれる。年上のスコフィールドは、若くて冗談好きなブレイクを横目で見ながら、この任務で自分は生きて戻れないような気がしていた。なにしろ、ドイツ軍のスナイパーがどこに居るかわからない中を進まねばならない。武器も十分に持たされてはいないのだ。心の準備も出来てはいなかったが、命令は絶対で逃亡は許されない。子供の頃に聞いた冒険物語とは違う恐怖にかきたてられながら、2人は味方の塹壕を飛び出していく。

 

 

全編ワンカットというふれ込みだが、実際はワンカットに見える、長回しを駆使した作品である。主役の兵士を約2時間、カメラが追っていくので、観ている自分も戦場に居るかのような錯覚にとらわれてしまう。塹壕の外を行くということはつまり、ドイツ軍の撤退した後を進んでいくということで、いくつも罠が仕掛けてあるのだ。馬の死体をまたぎ、泥水の中に身を伏せ、川に飛び込んで流され・・。

 

航空写真で敵の位置を確認してはいるものの、本当に敵が居ないのかどうかはわからない。観ていてハラハラドキドキ。ゴールデングローブ賞では高評価を受け、英国アカデミー賞では主要賞をほぼ独占したが、アカデミー賞での評価は撮影賞、録音賞、視覚効果賞と、技術面に集中した。戦争ものの美談は危険だけれど、こんな任務を背負うことになるのは、いつの時代も下っぱの兵士。結局これは下っ端の人間の物語。白羽の矢が立った兵士の背中越しに、戦争の冷たい手触りを感じました。

 

監督 サム・メンデス

製作 サム・メンデス ピッパ・ハリスカラム・マクドゥガル

ブライアン・オリバー

脚本 サム・メンデス

クリスティ・ウィルソン=ケアンズ

 

撮影 ロジャー・ディーキンス

美術 デニス・ガスナー

音楽 トーマス・ニューマン

©2019Universal Pictures and Storyteller Distribution Co.,LLC.All Rights Reserved.

(2019/イギリス・アメリカ/119分)

 

2/14から梅田ブルク7ほかで。