山地咲希さんは、植物をモチーフにして、自分の感情や状況を絵に重ねながら作品を描く方です。木々の間から木漏れ日が漏れているのを描いた絵や、川のせせらぎ、花束を持つ女の人。どれもなぞなぞのようですが、答えを聞く前からちょっと笑ってしまいます。使っている色が明る

い。ご本人は作品解説する時にちょっと冗談めかした喋り方をする人で、明るい性格の絵描きさんなのだろうと思います。画面の中に人が隠れている絵でも、不気味な感じとはほど遠い。人が横たわっていて、そこに植物が生い茂っている姿を描いた絵があったのですが、それ、かなり

怖い発想なのに、透明系、不透明系の絵の具を使い分けた画面はポップで、子供の頃に読んだ絵本の続きのようでした。殆どの絵にモデルになるものがあるのですが、1枚だけ全くの空想で描かれた作品がありました。「ゼロ以前」というタイトルで、生まれる前の記憶はどんなものだ

ろう、と想像して描かれたものです。なんでも、そういう記憶がある、と言う人の話にインスパイアされて、イメージを膨らませたものだと言われます。黄色を背景に、いろいろな形や、石の表面のような、いろんな質感を出す色を重ねて、奇妙な空間を作りだしていて、十数点の中、

それだけ異質でした。その絵に神様や人のようなものは、一切描かれず、「無」でもなく、何かがある、けどなんだかわからない。山地さんがどう思いながら描かれたかは未確認です。大体どれくらいの制作期間期間なのかうかがうと、1枚におよそ1か月くらいかかって描いておられ
るそうですが、いつも何枚か同時進行で、1つ乾かしてる間に他に移って、ここ描いてるうちに、他の作品のここ描いて・・と、いう作業に

なってしまうと言います。だから、1枚にどれくらいかかっているかは、厳密にはわからないようです。油絵は乾くまで、生がわきの時間がありますよね。それは無駄な時間ですが、無駄にしないで思索の時間として使えば、写真とも日本画とも違う、油絵でしか描けないものが表現で

きそうです。山地さんは、描いて消して、を繰り返しながら、正解の出ない問題を解いていく学生さんみたいな感じの人でした。サボテンの花の絵があったので、その絵のことをうかがっていると、「最近、ちっちゃいの育ててるんです」とのこと。多肉植物は増殖していくと、人間に

変身しそう。テーマやモチーフなんも、これからまだまだ進化していく可能性がありそうな方でした。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(№62)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




(by k,iwanaga)