バイトが終わり、家に帰る。冬独特の風が体を包む。
もうすぐ立春だというのに…かなり寒い。
最近はついてないことばかりだ。この間は人がいないのでと、バイトに無理やり入れられてしまったし(断ればよかったんだけど、押し切られてしまった。)…昨日は全財産の入ったサイフを落としてしまった。…まだ見つかってはいない。こんなことが立て続けに起こると寒さに孤独と世界との距離感を感じてしまう。
「あ~、なにやってるんだろ…俺…」
今のバイトには勤めて4年目を過ぎたところで、最近バイトを楽しむこともできなくなってきた。飽きたんだろうな、たぶん。同じことの繰り返しで。
新しいバイトを探してはいるのだが、5回連続失敗中。何がいけないんだろう…。早く新しいところを見つけ…。
「…パ~イ!」
後ろから誰かを呼び止める声と、トタトタと急ぐ足音が聞こえる。
「センパ~イ!!」
あれ?この声は、後輩の…。
「ん?」
くるりと振り向いて声の主に話し掛ける。
「どうしたの?そんなに走って…」
「あ…あの……夜遅くなっちゃったんで、センパイに送っていって欲しいなぁ~なんて…」
「え?でも、マネージャーに送ってもらうって…」
「え!?あ…ダメ…ですか?」
少しうつむいて聞いてくる。そのしぐさに少し……ドキッとした…。
「い、いいよ?別に…。」
すぐに返事をして、横を向いた。照れ隠しだ。
「よかった!」
嬉しそうにそう言うと、彼女は下を向いた。
「あの…もし、良かったらなんですけど…」
「どうしたの?」
「これからも夜遅くなったら…送っていってもらえませんか?」
「えっ!?」
彼女の顔を少し覗いてみる。街頭の灯りの所為なのか、少し顔が赤く見える。そんなしぐさがかわいく見えた。
「い…いいよ!夜は…危なっかしいしね。」
「ありがとうございます!」
にっこりと笑った彼女の顔を見る。きっと今の俺の顔は夜でなければ太陽のように赤く見えたに違いない。
「あっ…雪…」
白い粒が空から舞い降りる。
「じゃぁ…行こうか。」
「はいっ!」
これからバイトが楽しみになりそうだ。
ってことないかな~……マジデ。
あるわけないか…