今日の午前便で、4年7ケ月前にベトナムからやってきて一緒に仕事をした実習生が帰国します。帰国先では1歳になり、少し走り始めたという娘さんが待っているとのことです。
 彼は、3人の同い年のベトナム人とやってきました。日本語もままならず、当初は大変だったろうと思います。ただ、若いし、好奇心もあっただろうから、それなりに生活していました。仕事は極めて真面目で、よく働くだけでなく、仕事を覚えようとする姿勢もあったし、手先は器用でした。あっという間に仕事も任せられるようになる中で、広さがあるとはいえ1DKのログハウスに住んでいましたが、若い男が一緒の部屋にいるのは難しいやろということや、下灘の店もないようなところで、生活するのも大変と、伊予市内に古い家を買い、それを寮として各自一部屋ずつを確保して生活できるようにしました。また、自転車だけでの移動では生活も楽しくないだろうと、原付の免許も取らせてホンダ・スーパーカブを各自に貸与しました。それで生活もさらに楽しくなってきただろうと思います。やがて追加で2名のベトナム人の男性が実習生としてやってきました。5名で古い家を間仕切りしながら生活していたけど、夏は暑く、冬は寒い古い家だったので、今年の1月からその家を取り壊し、寮を新しく建替えました。

 コロナがあり、日本人も、ここに住むベトナム人も、生活が様変わりしました。各人に部屋があると、みんな話をすることもなく、それぞれの部屋に入って、SNSやゲームで時間をつぶすようになり、寮の中から会話が激減したと聞きます。自分の空間は居心地がいいものの、同じ家にいても口を利かない関係が続く中で、ちょっとしたことで諍いも生じ始めたと聞きます。それでも、ベタベタと30歳になろうかという男がするのも変なので、「仲良くやれよ!」ということにもなりました。

 彼らはすこしでも多くの給与を取りたいので、仕事をすることに関しては何の問題もないけど、寮では出入りを特に注意はしないことにしていたので、彼女ができたり、泊って行ったりもしているうちに、今回帰国する子は子供ができました。子供の出産に合わせて、去年の3月にはベトナムに一時帰国していました。それで里心が付いたこともあるんだろうけど、今回の帰国となりました。

 僕にとってもベトナム人受け入れは初めてだったので、いろいろな気付きもありました。僕なりには彼らを預かった上で、家族の一員的にできるだけのことはしてあげようと思って生活していたので、彼らと特段揉めることもなく、仲良くやって来れました。とても良い人間関係だったと自分では思っています。4年7ケ月が経ち、もしかしたらこれで会うこともなくなるかもしれないと思うと、切ない気持ちでいっぱいです。今は彼に対し、深い感謝と、今後家族と仲良く暮らしてほしいと、心から願っています。彼の娘さんに、今、必要なのは、彼の身近な存在だと思います。