シカゴから数時間でミルウォーキーの街に着く。ミルウォーキーはビールの街で、僕も工場見学をした後皆にふるまわれるビールを少し頂いた。味なんてよくわからんかったけど、なんかとても美味しいけど、すっかりといい天気の昼間に何も社会の役に立たず、酔っぱらって街を歩く日本人。なんか、「僕がしたいことは、こんなんじゃない!」と自分自身の声が聞こえる。「じゃ、なんなの?」と尋ねられても答えなんて持ち合わせえていないけど。なんだか、最悪な気分。自己嫌悪。

そういえば、この街で野球を観戦した。もちろん当たり前にはチケットを買えないので、試合が始まってしばらくして誰も来なくなった頃にダフ屋から2ドルか、3ドルか払ったのかな?3番バッターが内野ゴロを打ちアウトとわかっていても全力で一塁に走る姿を見て「大リーグは違う!」と思った。日本の野球は当時、とてもチンタラしていたように思う。

 

 僕はミルウォーキーを出るとそのまま一気に西海岸のシアトルに向かうことにした。

 

 途中、ノースダコタだったかモンタナにあるマイルズシティーという小さな街があり、僕はその街でひと便だけバスを遅らせてそこで数時間を滞在することにした。カフェでコーヒーを飲み、街をフラフラと歩くだけ。街に人は少なく若者もほどんど見かけない。昔の西部劇に出てきそうな町。なんかとても気に入った。小さなミュージアムがあり、そこでもぎりのおばちゃんと少し話をした。なんてことない話。風が吹く。時が流れる。静か…その頃は、なんか、会話もなくただボーっとして時間が過ぎる。何に対しても感情の起伏がなく、切ない感じがする。

 

 当時萩原健一・ショーケンのこんな歌がありました。なぜかマイルズシティーでこの歌をずっと歌っていた気がします。歌詞があってるかどうか、不確かですが…「寂しさ故の徒然に 思うは故郷 わが街よ 紺碧の空 緑の山野 忘れがたきはわが街よ。如何にいますか 父母よ 優しき母に文を書く 変わりはないか 今もなお 郷愁 人の常ならん。」