最近、学生の時の話ばかり思い出していましたが、日常は淡々と過ぎて行っています。

 ところで、昨年6月に父を亡くし、父の家をどうするかに悩ましい思いをしていました。僕にも思い入れのある家だし、自分が生まれ育った場所にある建物もほっておくと、草が生え、ツタが家を覆い、家の中はクモの巣だらけになり、カビが生える。かといって、しょっちゅう掃除や手間をかけるのも大変で、きれいにしておくことだけが目的になり、費用も、時間もかかる。そこで、親父さんも人が来るのを楽しみにする人だったし、僕のおじいさんも貧しくても近所の人が来てお酒を飲んだり、親父さんが小さかった頃には子供のたまり場的な家だったということを小さい頃から聞いていたし、「人が来る家は賑やかでいい」というのが、僕自身にも染みついているように思います。僕も人と知り合ったり、人に来てもらうのが好きです。

 ともあれ、見事にお金を使い切って亡くなった父が、僕に残したわずかなお金を使ってトイレと風呂を建築家となった三男に設計してもらい、寝室とLDKを若干手直ししてリニュアルし、8月から民泊を始めました。AIRB&Bでゲストを受け入れるのですが、この仕組みはとても良くて、ゲストと民泊施設側が相互に評価しあうので、どちらも良い加減ができない。こちらも、ゲストとして点数の低い人を拒否することもできる。僕がゲストに対して行う評価は、清潔に使ったか、コミュニケーションが良かったか、ハウスルールを守ったかの3点。また、ゲストに知らされることなく「今回のゲストをまた泊めたいか?」という質問があります。そこで「NO」って書かれると、次にAIRB&Bを使う時にその人の評価は下がる。なので、今までのゲストはほとんど良い方ばかりで、出会いが嬉しくなる人たちが多かったです。ただ一部には「大人数で割り勘すれば安い宿」的な、民泊を単に「安いホテル」と思われている方もいて、「まあ、仕方ないかも。。。」と思うこともありますが、1週間を超えた長期滞在される方々もいたりして、そうなるとうちの値打ちが分かってくれる。

 

 民泊施設名は<shimonada haus> しもなだハウスと名付けました。今のところ、月の売上が約8万円。当然そのすべてが儲けというわけにはいきませんが、投資を回収するには何年もかかりますが、何よりうれしいのは、親父さんの家がきれいに保たれていること。200坪の敷地に80坪の家があり、草引きとか、マジに大変ですが、それでも維持費があるから何とか回せます。当初、あまり積極的でなかった姉もきれいに保たれる家を見て、「私も掃除を手伝ってあげる」と言ってくれ始めました。もちろん、僕も時間を見つけて掃除をし、洗濯をし、シーツを替え、除菌をし…今まで家出は奥さん任せだったのが、自分でそれをすることで、奥さんの今までの苦労というか、大変さが分かり、奥さんには、心から感謝しています。なにより、shimonada haus に来てくれるゲストが、ごみの分別なんかもしてくれるし、部屋はきれいに使って頂けるし、とても良い方が多いので、多くの出会いにも感謝しています。

 

 夕日が沈むのを見ながら入るお風呂、広い廊下、広い桜の板のテーブル、静かな一軒家。鳥の鳴く声で目覚めることができます。下灘駅のすぐ近く。自分自身もこのお風呂はお気に入りで、時々自分でも使います。

 日本中に、環境は良いし、とてもいい家だからその建物を守りたいけど、費用はいるしと悩まれている人は多いと思いますが、少し頑張ってお風呂とトイレ、寝室を直せば、民泊ができます。法事をしたい時には予約が入らないようにするだけです。お金のAIRB&Bがやってくれるから心配もない。掃除をしてくれる人を見つけるのが大変と思うけど、それだけできれば自分にも、ゲストにもいいことができると思います。僕も自身の仕事での収入があるから、お金の為にやっているわけではないですが、少しの小遣いはできます。その小遣いは奥さんと一緒にご飯を食べたりすることに使わされます(笑)。僕のケースがうまくいって、それに倣う人が出てくることを願います。世の為、人の為です。