加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』について考察するブログ -7ページ目
加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第5章 もっともっと徹底的に出させる超絶訴訟戦略
弁護士の選択/自賠責保険金を先取りするかしないか/年五%の遅延損害金の付加/和解における「調整金」/被害者の経済状態が決定要因/自賠責への時効中断/加害者が悪質な場合の慰謝料の増額/兄弟姉妹の慰謝料/逸失利益の考え方/県立高校の教師のケース/主夫の逸失利益/女子年少者の逸失利益/顔の傷の男女差別/男は顔の傷の一つや二つでガタガタ言うな/顔の傷は減収をもたらすか/損保側医師による意見書/被害者のとる次への的確な一手/国税調査官並みの税理士の調査/ビデオ撮影の技術/同一の車を使っての実験映像/ナレーションを練る/夜の現場撮影/反論を封じるDVD/和解か判決か/和解決裂から判決へ/金額に差が出る和解と判決/和解するメリットは何か/注意すべき既払金の計算/損保の都合で和解を先送りする場合の「調整金」


『金額に差が出る和解と判決』

死亡事故では、どうして判決の方が和解より得策か。
それは次の理由によります。
死亡事故では、次の四項目しか損害がありません。

1 治療費(救急病院での医療費など)
2 葬儀費 通常は一五〇万円
3 逸失利益 被害者の生前年収によって変わってきます。
4 死亡慰謝料 通常は二〇〇〇万円から二八〇〇万円の範囲で、被害者の属性(一家の支柱か配偶者か、子供か、高齢者かなど)により決まります。

これらは、事故の関係者や遺族を尋問するまでもなく、書面の資料だけで立証は尽くされてしまいます。
被害者が社会的な奉仕活動をしていて、友為な人物であったといった事情も、遺族の「陳述書」で説明すれば足りてしまうのです。

つまり1から4の項目は、きちんとした立証資料を出せば、和解でも判決でも原則として金額は変わりません。

変わるのは、弁護士費用と遅延損害金(調整金)です。
交通訴訟では、裁判所が適正と考えた認定額の五%から一〇%を「弁護士費用」として、加算してくれます。

このパーテンセージは、数千万円から一億円を超えるような認定額の場合には、低めに評価され、そうでない場合には高めに評価されます。

また自賠責保険を入手済かどうかも影響することがあります。
この点は、常にこうだという決まりがあるわけではありません。

加茂隆康弁護士の長年の印象では、五〇〇〇万円を超える認定額の場合には、弁護士費用を五%の方向に抑えられる傾向があるように思います。

加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第5章 もっともっと徹底的に出させる超絶訴訟戦略
弁護士の選択/自賠責保険金を先取りするかしないか/年五%の遅延損害金の付加/和解における「調整金」/被害者の経済状態が決定要因/自賠責への時効中断/加害者が悪質な場合の慰謝料の増額/兄弟姉妹の慰謝料/逸失利益の考え方/県立高校の教師のケース/主夫の逸失利益/女子年少者の逸失利益/顔の傷の男女差別/男は顔の傷の一つや二つでガタガタ言うな/顔の傷は減収をもたらすか/損保側医師による意見書/被害者のとる次への的確な一手/国税調査官並みの税理士の調査/ビデオ撮影の技術/同一の車を使っての実験映像/ナレーションを練る/夜の現場撮影/反論を封じるDVD/和解か判決か/和解決裂から判決へ/金額に差が出る和解と判決/和解するメリットは何か/注意すべき既払金の計算/損保の都合で和解を先送りする場合の「調整金」


『和解決裂から判決へ』

判決を求める場合には、死亡事故は別として、多くのケースで、原告や被告の本人尋問を実施します。
当事者本人を法廷で直接尋問して、事故の状況や損害の金額について質問するということをします。
そのためには、尋問期日を設け、そのあと最終的な主張を展開する「口頭弁論期日」を開いて、判決に至ります。

和解決裂から判決までは、通常四か月から六か月はかかるとみなければなりません。

和解が決裂したら、尋問をしないで直ちに審理を終結し、次回に「判決」ということもないわけではありません。それは死亡事故のケースです。

死亡事故のケースでは被害者が亡くなられていますので、被害者を尋問することはありえません。
一方、加害者の主張は、自動車運転過失致死罪に問われた刑事事件記録に載っています。
いまさら加害者を尋問して訊くまでもないと、通常は考えます。

なかには、交通刑務所に服役中で、事実上尋問できないケースもあります。

このため、死亡事故では、和解が決裂したら、直に審理を終結し、次回に判決を求める方向に移行します。

実際、損保の中には、この期に及んでも、まだああでもない、こうでもないと屁理屈をくり出す査定担当者がいます。これは、損保側弁護士の説得力不足に原因しています。
裁判官から示された和解案については、もう四の五の言わせない、「これOKにしなさい」と説得すればいいものを、その能力に欠けているのです。

特に経験の浅い若い弁護士であったり女性弁護士であったりすると、損保の担当者や課長は自分の方が優位に思うのか、身勝手な主張を代理人にぶつけます。

加茂隆康弁護士は、相手方から出されるそういうわがままには、一切つき合わないことにしています。

「説得できないのは、あなたの実力不足でしょう」とは言いませんが、最終段階で愚痴をこぼすのは、男らしく(いや女性弁護士もいますから、正確には弁護士らしく)ありません。

問答無用で判決を求めた方が、被害者のためには得策です。

加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第5章 もっともっと徹底的に出させる超絶訴訟戦略
弁護士の選択/自賠責保険金を先取りするかしないか/年五%の遅延損害金の付加/和解における「調整金」/被害者の経済状態が決定要因/自賠責への時効中断/加害者が悪質な場合の慰謝料の増額/兄弟姉妹の慰謝料/逸失利益の考え方/県立高校の教師のケース/主夫の逸失利益/女子年少者の逸失利益/顔の傷の男女差別/男は顔の傷の一つや二つでガタガタ言うな/顔の傷は減収をもたらすか/損保側医師による意見書/被害者のとる次への的確な一手/国税調査官並みの税理士の調査/ビデオ撮影の技術/同一の車を使っての実験映像/ナレーションを練る/夜の現場撮影/反論を封じるDVD/和解か判決か/和解決裂から判決へ/金額に差が出る和解と判決/和解するメリットは何か/注意すべき既払金の計算/損保の都合で和解を先送りする場合の「調整金」


『和解か判決か』

東京地裁の最近の集計によれば、交通訴訟の七割強は和解により解決しています。
和解とは何か。

話し合いによる解決のことです。和解に対する言葉として、判決があります。
判決は、話し合いではなく、裁判官によって出される裁定のことです。

和解と判決は何がちがうか。

和解の方が判決より早く解決します。
原告や被告の双方から主張と立証資料が出尽くしたところで、裁判官から和解案が示されるのがふつうです。損保の項目によっては、立証が不十分で、原告の主張が正しいと正しくないとも言いかねる部分が出てきます。

そういうグレーンゾーンであっても、「和解に限り認定する」ということがあります。
裏を返せば、判決になったらわかりませんよ、という意味です。

和解折衝は、通常は一回か二回です。
裁判官から示された和解案を、双方で呑めるかどうかを決めるだけです。
裁判官の和解案に計算違いがあったり、「既払金」として控除すべきでない金額までさしひいてあったりというように、明らかな誤りがない限り、いったん出された和解案についてゴねるというのは許されません。

たとえば、一二〇〇万円の和解案が示されたが、原告としては一五〇〇万円に増額してくれませんか、とか、被告としては一〇〇〇万円に修正してくださいというのはだめです。
オール・オア・ナッシング。

呑むか呑まないかです。
どちらが呑めないというのなら、和解は決裂し、判決に向けた手続きに移行します。

加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

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弁護士の選択/自賠責保険金を先取りするかしないか/年五%の遅延損害金の付加/和解における「調整金」/被害者の経済状態が決定要因/自賠責への時効中断/加害者が悪質な場合の慰謝料の増額/兄弟姉妹の慰謝料/逸失利益の考え方/県立高校の教師のケース/主夫の逸失利益/女子年少者の逸失利益/顔の傷の男女差別/男は顔の傷の一つや二つでガタガタ言うな/顔の傷は減収をもたらすか/損保側医師による意見書/被害者のとる次への的確な一手/国税調査官並みの税理士の調査/ビデオ撮影の技術/同一の車を使っての実験映像/ナレーションを練る/夜の現場撮影/反論を封じるDVD/和解か判決か/和解決裂から判決へ/金額に差が出る和解と判決/和解するメリットは何か/注意すべき既払金の計算/損保の都合で和解を先送りする場合の「調整金」


『反論を封じるDVD』


「原告から、たいへん分かりやすいDVDが出されましたが、被告側はこれに対し、どう対応されますか」

裁判官が、準備手続室で被告代理人に問いかけます。

「・・・・自分も現場は見ましたが、ちょっとちがうんですよ、実際は」

被告代理人の弁護士は、言い淀みます。

「このDVDの内容がちがうと言うんだったら、被告側でもDVDで撮影して、出せばいいじゃないですか」

加茂隆康弁護士は反論しました。

出せるものなら出してみろという思いを込めて、あえて挑発的に言いました。
プロのカメラマン兼映画監督、俳優まで使って、DVDを作ることなど、損保の地区サービスセンター・自動車査定部門でできるわけがないことを

知っていたからです。いくら損保は資金が潤沢にあるからといっても、テレビで放映するCM用ビデオを作るなら本腰を入れますが、一つの事案のためにそんなコストはかけられません。経費を極力削る前提では、人材の心当たりもないはずです。

次回期日。裁判官は、こちらが出したDVDの内容を全面的に採用し、被害者の女性過失を五%にとどめた和解案を示してきました。損保側も諦めたのでしょう。こちらのDVDに対する反証は出さず、その次の期日に裁判所案通りの額で和解が成立しました。



加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第5章 もっともっと徹底的に出させる超絶訴訟戦略
弁護士の選択/自賠責保険金を先取りするかしないか/年五%の遅延損害金の付加/和解における「調整金」/被害者の経済状態が決定要因/自賠責への時効中断/加害者が悪質な場合の慰謝料の増額/兄弟姉妹の慰謝料/逸失利益の考え方/県立高校の教師のケース/主夫の逸失利益/女子年少者の逸失利益/顔の傷の男女差別/男は顔の傷の一つや二つでガタガタ言うな/顔の傷は減収をもたらすか/損保側医師による意見書/被害者のとる次への的確な一手/国税調査官並みの税理士の調査/ビデオ撮影の技術/同一の車を使っての実験映像/ナレーションを練る/夜の現場撮影/反論を封じるDVD/和解か判決か/和解決裂から判決へ/金額に差が出る和解と判決/和解するメリットは何か/注意すべき既払金の計算/損保の都合で和解を先送りする場合の「調整金」


『夜の現場撮影 終』

撮影は二夜にわたりました。
オートバイに乗っている者から横断歩行者がどの程度見えるか。
衝突地点から五〇メートル、四〇メートル、三〇メートル、二〇メートル、一〇メートル手前ではどうちがって見えるか。

それぞれの位置から、バイクのライトが下向き、上向きの場合ではどうか。
二種類の映像を作りました。というのは加害者の男性は、現場近くのガソリンスタンドで給油したと、ヘッドライトを下向きにしたまま走っていて、被害者にぶつかったと警察の調書の中で供述しているからです。それぞれの映像には、第三者にも分かるように、的確なナレーションを俳優に読ませました。NHK総合テレビの、「クローズアップ現代」を撮るようなつもりです。

もし前照灯を上向きにしていたなら、現場付近の明るさとあいまって、もっと早い段階で、被害者に気づいたのではないか。そうすれば、ブレーキをかけることによって、事故は避けられたのではないか。

自分がたてたこの仮説の正しさを、加茂隆康弁護士は映像によって証明したいと考えました。

完成したDVDは完璧でした。
現場の明るさも、肉眼で見たときとほぼ同様に再現されています。前照灯を下向きにすると、被害者に接近してからでないと気づかないが、上向きにしていれば、かなり離れた距離でも被害者を認識できます。

S氏は、このDVDにタイトルと目次、字幕スーパー、実験結果の総括分までつけてくれました。
さらにこれらが、フェード・イン、フェード・アウトします。
さすがに、本職が映画監督だけのことはあります。

加茂隆康弁護士はDVDに証拠番号をふって、東京地裁に提出しました。