加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』について考察するブログ -3ページ目
加茂隆康弁護士の自動車保険金は出ないのがフツーは以上になります。

いかがでしたでしょうか?
皆さんにとって、タメになるお話は沢山ありましたでしょうか?

興味がなくても一度は読んでほしいです。
いつどこで交通事故トラブルに巻き込まれるか分かりません。

自分が加害者になってしまうかもしれませんし、被害者になってしまうかもしれません。
そんな時に、交通事故に関する知識が一つや二つでもあれば、損する事は絶対にないと思います。

ですから、気が向いた時でもいいので、加茂隆康弁護士の、

『自動車保険金は出ないのがフツー』を読んでみて下さいね。


自動車保険金は出ないのがフツー
交通事故の被害に遭ったら、治療費や休業損害は、相手の自動車保険金からすんなり出ると誰もが思っている。しかし、現実には出ない。バイク転到で両脚を切断しても、「故意」に起こしたとして、損保は支払いを拒む。保険金の支出を彼らは「損失」と呼ぶ。支払いを渋り、利益追求に腐心する損保。泣かされる被害者。その不払いの実態と狡猾な手口とは?正当な賠償金を獲得するにはどうすべきか?経験豊富な交通弁護士が、保険金を出させる方法を超実戦的に解説。

加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第6章 落とし所を知れ、あるいは弁護の品格
因果な商売/退くときは退く/落とし所を知れ/類は友を呼ぶ/損保側弁護士の報酬のからくり
司法研修所を出てホームレス/初回の提示580万円、二回目ゼロ回答
K弁護士からの丁重な謝罪/重傷事故では訴訟まで視野に入れる
立証責任五分五分論/闘わずして勝つ


『闘わずして勝つ』

交渉はいつ決裂して、白紙に戻るか分かりません。
白紙に戻ったとき、あとあと言質をとられないように、慎重に話を進める必要があります。
先行き不透明な段階でこちらから大幅な譲歩など、絶対にするべきではありません。

加茂隆康弁護士は事前に溝口さんに電話で、現在どこまでなら譲歩の気持ちがあるか、尋ねました。
彼は最低一五〇〇万円、できれば一五五〇万円だと言います。

加茂隆康弁護士はJ氏に伝えました。

「私の方でお送りした損害明細書の金額は、訴訟になった場合、すべて正当に認められる金額です。
いま示談するというのであれば、弁護士費用分である一六〇万円だけ除いて、残りは全額お認めいただく、つまり一六二〇万円ということでしか、こちらでは難しいですね」

「分かりました。早速持ち帰りまして、上席に報告します。じつは、うちの地区の統括費任者をしております部長のEが、以前、先生にたいへんお世話になったそうでして・・・・・」

「Eさん?・・・・ああ、そういえば、ずいぶん昔、Eさんからの依頼事件、なにかありましたねぇ」

言われて、次第に記憶が蘇ってきました。

「部長のEが、先生にご迷惑おかけしないようにしろと申しておりますので、その案で決済が下りると思います」

彼は、減額交渉を何もせず、二〇分で帰っていきました。担当者ではなくJ氏が出てきたのには、
統括責任者であるE氏の意向が働いていたのです。

それからまもなく、四日後には一六二〇万円で示談が成立しました。
驚いたことに、示談書に代る「免責証書」というものを先方に送ってから三日後には、早くも示談金が振り込まれました。

裁判所などで和解する場合、「支払期限は和解成立日から三〇日後にしてください」とよく言われます。J氏とE部長との間で、事前に根回しができていたからでしょうか、この早さにはびっくりしました。

その気になれば、三〇日もおかないで、三日で送金手続きはとれるのです。
これは、損保側が落とし所を理解してくれた数少ないケースです。加茂隆康弁護士は顔を会わせなかったE部長に、内心、感謝しました。五年に一度くらい、こんなことがあります。

加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第6章 落とし所を知れ、あるいは弁護の品格
因果な商売/退くときは退く/落とし所を知れ/類は友を呼ぶ/損保側弁護士の報酬のからくり
司法研修所を出てホームレス/初回の提示580万円、二回目ゼロ回答
K弁護士からの丁重な謝罪/重傷事故では訴訟まで視野に入れる
立証責任五分五分論/闘わずして勝つ


『闘わずして勝つ』

事故で右手の親指が曲がらなくなってしまった溝口さんという方がいました。
自賠責の後遺障害等級は一〇級に認定されています。
彼は自営で、資材を建築現場に運んで組み立てることを仕事にしていました。
障害は彼の生活に深刻な影響をもたらします。

加茂隆康弁護士は既払金を除く損害額を一六二〇万円と算定し、
これに一〇%弱の一六〇万円を弁護士費用(これは訴訟を前提に、損害額に焼く一〇%の弁護士費用を加算するという交通訴訟の慣行に従ったものです)として上乗せして、合計一七八〇万円程度で、まったく話にならないだろうと踏んでいました。

もしかすると、四〇〇万円にも満たないかもしれないとさえ思いました。
といいますのは、これまでの年輩の担当者の態度は、「払わない」の一点張りだったからです。

加茂隆康弁護士が損害明細書を送ってから一週間ほどして、担当者の上司だというJ氏が電話してきました。

「私は本件の担当の上席をしているものですが、一度先生にお目にかかりまして、お話を進めさせていただきたいと考えております」

秘書がうけた電話の様子では、担当者とはうって変わって、非常に丁重だったといいます。
上司が出てくるというのは、何かあるのかな、と感じました。

五日後に、彼は一人で加茂隆康弁護士の事務所に現れました。
名刺を見ますと、「課長」という肩書がついています。

加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第6章 落とし所を知れ、あるいは弁護の品格
因果な商売/退くときは退く/落とし所を知れ/類は友を呼ぶ/損保側弁護士の報酬のからくり
司法研修所を出てホームレス/初回の提示580万円、二回目ゼロ回答
K弁護士からの丁重な謝罪/重傷事故では訴訟まで視野に入れる
立証責任五分五分論/闘わずして勝つ


『立証責任五分五分論』

人身事故の被害者は、なぜこんなにも泣かされるのか。
その根本的な理由は何か。

それは、立証責任が一〇〇%被害者側にあるからです。
人身事故の被害者は、事故と傷害・後遺障害との因果関係、自分に発生した損害額を一〇〇%、証明しなければなりません。

損保は、被害者がさまざまな資料を提出しても、証明不十分として請求を否定します。
訴訟でも、同様のことが起きます。

車両保険については、以前、ご説明した通り、最高裁が立証責任の転換をはかりました。
偽装事故だと言いたければ、被害者(契約)の故意や重過失の存在を損保側で証明しなければ、損保は保険金の支払いを
免れないとしたのです。

加茂隆康弁護士は人身事故での自賠責保険や対人賠償責任保険においても、被害者側が五〇%の立証をしたなら、残り五〇%は損保側で反証をあげない限り、請求は認められるという方向に転換すべきではないかと思います。

立証責任五分五分論と呼んでもよいかもしれません。
このように書きますと、それでは保険金の不正請求(モラル・ハザード)が起きやすいと損保側は反論されるでしょう。
しかし現状では、被害者側に立証責任があることを奇貨として、不当不正な保険金不払いをつづけているのは、ほかならぬ損保(共済)です。
いわく、「因果関係がはっきりしない」「損害額について、十分立証が尽くされていない」などなど。

立証責任が全面的に被害者側にあるために、裁判所も好まざるとなにかかわらず、被害者を冷遇する結果になっています。被害者の苦境に同情はするが、請求は認めがたい。

そんな裁判官の心情が、時折、判決文から透けて見えます。

この不正義をだすには、立証責任を少なくとも五〇%は、加害者側に課す必要があります。

そうでもしない限り、被害者は今後も泣かされつづけると思います。

「弱者への愛には、いつも殺意がこめられている」

安部公房は小説『密会』の冒頭で、こう書いています。

損保の被害者に対する接し方を目の当たりにしますと、悪意、害意、就労不能者への兵糧攻めによる殺意といったことを、感じないではいられません。


加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第6章 落とし所を知れ、あるいは弁護の品格
因果な商売/退くときは退く/落とし所を知れ/類は友を呼ぶ/損保側弁護士の報酬のからくり
司法研修所を出てホームレス/初回の提示580万円、二回目ゼロ回答
K弁護士からの丁重な謝罪/重傷事故では訴訟まで視野に入れる
立証責任五分五分論/闘わずして勝つ


『重傷事故では訴訟まで視野に入れる』


重傷事故の被害に遭って、後遺障害が出そうなケースにおいては、将来の賠償交渉の流れを知っておく必要があります。

1 まず治療に専念する



2 症状固定になったら、自賠責保険に被害者請求し、後遺障害等級の認定を求める。



3 等級認定が出たら、加害者側の任意保険会社と賠償交渉に進む。



4 交渉が決裂したら、訴訟などにもち込む。

被害者は、この4までのプロセスを最初から頭に入れておく方が賢明です。
納得のいく等級認定が下りなかったときは、「2」のあとに、「異議申立て」の手続きが入ります。

そうして、どのような証拠が最終的に必要になるか、それに応じて証拠収集の準備をしておくのがよいでしょう。弁護士のところに法律相談にみえる被害者の中には、証拠書類が何もとってなく、4の寸前で来る方もいれば、事故が起きた直後に来る方もいます。後者は、将来の賠償交渉に備えて、計画性をもった対処をしたいという考えにもとづいています。

後者の方がよいのは、いうまでもありません。示談交渉や訴訟では、証拠がものをいうからです。