加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』
第5章 もっともっと徹底的に出させる超絶訴訟戦略
弁護士の選択/自賠責保険金を先取りするかしないか/年五%の遅延損害金の付加/和解における「調整金」/被害者の経済状態が決定要因/自賠責への時効中断/加害者が悪質な場合の慰謝料の増額/兄弟姉妹の慰謝料/逸失利益の考え方/県立高校の教師のケース/主夫の逸失利益/女子年少者の逸失利益/顔の傷の男女差別/男は顔の傷の一つや二つでガタガタ言うな/顔の傷は減収をもたらすか/損保側医師による意見書/被害者のとる次への的確な一手/国税調査官並みの税理士の調査/ビデオ撮影の技術/同一の車を使っての実験映像/ナレーションを練る/夜の現場撮影/反論を封じるDVD/和解か判決か/和解決裂から判決へ/金額に差が出る和解と判決/和解するメリットは何か/注意すべき既払金の計算/損保の都合で和解を先送りする場合の「調整金」
『主夫の逸失利益』
女性が社会に出て、男性同様にバリバリ働くというのは当たり前の時代ですが、逆に男性が
「主夫」として、専業主婦の代りを務める人もいます。
そういう人の逸失利益はどう考えるべきか。
いわゆる専業主婦の逸失利益は、厚生労働省の賃金統計である「賃金センサス・女子労働者の全年齢平均賃金」をベースにして計算するのが一般的です。
「主夫」業をしている男性の代理人として加茂隆康弁護士が東京地裁に提訴したとき、被告側損保は、
「主婦」はいても「主夫」などいない、それは働くのがいやで怠けているだけだ、それゆえ被害者は無職と考えるべきで、逸失利益は認められない、などと反論してきました。
このような考え方は、家事労働は女性がやることで、男性がやるのは信じられないという古い固定観念にしばられています。
東京地裁は判決の中で、「主夫」としての彼の逸失利益を、専業主婦と同様、「女子労働者の全年齢平均賃金」をベースに認めました。