もう4~5年くらい前?に購入した本.
「ジャケ買い」やら「タイトル買い」をたまーにやるのですが,
これもその一冊.
ちょうど精神科の実習に行くか行かないかの頃だったかな.
(たやさんはリハビリの技師を目指す大学に所属してたのです
)
まぁ,裏表紙のあらすじを読んだだけだと
「ファンタジー![]()
」って感じなんですが,
これが,本当に起こりえるのが精神科の不思議で怖いところ.
↑精神科の実習だけで●年大学に残留した僕が言う...
学生視点で見える風景なんて,
病院のごくごく限られた一部で,
しかもリハビリ室の滞在時間なんて,
患者さんの生活からするとわずかな部分なので,
当初の目論見のように,実習に役立つことはなかったのですが![]()
いざ実習が終わって,国家試験の受験勉強を始めると,
ここの内容がすんごく役立つ![]()
参考書を読んでても,
ただただ記号的なだけの診断別の症状や特徴が,
「亜左美」という少女の行動や描写を,
ストーリーを追いながら考えるだけで,
模試の解答が見えてくるという…(笑)
そんなこんなで,
受験勉強中から気になってた本書を,
受験後に再読してみました.
んもぅ,笑っちゃうくらいに,
勉強したことが満載.
薬品名も,疾病ごとの特徴も,それらへの対応策も.
下手な参考書よりもコッチ読んでた方が,
よっぽど勉強になったかも![]()
と,終わった今なら思えるけれども.
さて,かんじんの内容.
流行りの(?)医療ミステリーのようで,少し違うようで.
主題は,精神科医の主人公が,
新たに担当することになった少女の診断に悩みながら,
同僚や,病院長の謎に触れていく...といったもの.
あくまで中心には
少女・亜左美の診断があり,
彼女が「統合失調症」なのか「人格障害」なのかで
迷い,対応に悩むことが描かれます.
その中で,
周囲を巻き込み振り回す亜左美の言動から,
亜左美の前任の主治医の死因や,
それにまつわる病院長の対応の謎が表れ,
診断をめぐって対立する臨床心理士の広瀬が抱える問題にも波及します.
主人公・榊も過去の失敗にとらわれ,
動きが制限される場面があり,
それらもストーリーに絡んで
一気に読み進めてしまう面白さ.
結局,ストーリーとしては,
亜左美の診断に榊が確信を持つまでしか描かれておらず,
彼女の治療・転帰は分からないので,
読み終わったあとには主題が亜左美から別の人物にすり替わったような,
なんだかキツネにつままれたような妙な感覚はあるのですが,
怒涛の展開の前には,まぁ,それも良しとさせてしまうものがあるような(笑)
実は,このストーリーには,
もう一人,博物館の学芸員という主人公がいます.
病院のパートにはあまりかかわらず,
彼女は彼女で自分の父の遺品から出てきた手紙の謎を追っていきます.
彼女の求める謎のヒントが榊の勤務する病院にあり,
また,榊が求める謎も,学芸員の来訪により展開していくのですが,
ぶっちゃけ,これは別の話として作品を分けても良いのでは?と思った次第.
それぞれにしっかりとストーリーが独立しているので,
わざわざ隔章で交互に述べる必要はあったのか,と.
この手法で行くと,瀬名秀明「八月の博物館」のように,
最後は互いの世界が融合し,
答えのところで密接に関係したものが出来上がるのかな?などと
予想してたのですが,
それぞれが独立した答えに辿り着いたことで,
作品を分けたら良いという感想につながったのかも...
博物館パートは博物館パートで面白いですよ.(念のため・・・)
最後の真実はなかなかに衝撃的だし,
それを本当にやってのけた先人たちのことを思うと,
現代の僕でさえワクワクします(少し不謹慎ですけどね
)
人間の脳は,まだまだ人類には分からない部分が多く,
精神疾患は脳機能の問題であるということが分かってはきたけれども,
予防や治療はまだまだ「これから」の部分が多い.
そんな現場に,これから自分も飛び込んでいくんだな,と
あらためて実感したような,
それでもあくまでフィクションなんだよな,と戒めのように思ったような...
と,結局なにがなんなんだか,という感想なのでした![]()
でも,「精神科」という領域に対して,まだまだ先入観や偏見がある世の中なので,
(本文中にも,そんな描写は存在します)
この本が,もっと多くの人の目に触れて,
本人たちの意思によらず病気を抱えてしまった人たちへの誤解が
少しでも軽減されればよいな,とは思った次第.
それは,エンターテイメントの存在意義の一面だと思う.
たやでした![]()

