グループ・サウンズのズー・ニー・ヴー(Zoo Nee Voo)の2ndシングルにして代表曲。ズー・ニー・ヴーの4thシングル「ひとりの悲しみ」は、後に改題し、詞も書き換えて誰知らぬもののない大ヒット曲となった。尾崎紀世彦さんが歌った「また逢う日まで」である。一昨年作曲者の筒美京平先生が亡くなった折り、多くのTV番組などでも紹介され、また広く知られるようになった。

 

 

 「白いサンゴ礁」(1969)は作詞:阿久悠、作編曲:村井邦彦。村井さんはわれわれ以上の世代には説明無用と思うが、グループ・サウンズやフォークなどにヒット曲多数。代表曲に「エメラルドの伝説」(ザ・テンプターズ)、「翼をください」(赤い鳥)、「虹と雪のバラード」(トワ・エ・モア)、「夜と朝のあいだに」(ピーター)などがある。

 

 私はグループ・サウンズブームには朧げながら記憶があり、ブロマイドを買ったり、ザ・タイガースの「銀河のロマンス/花の首飾り」のレコードを買ってもらったりしたのを覚えている。だが、ズー・ニー・ヴーというのは申し訳ないがリアルタイムでは全く知らなかった。まずはオリジナルの「白いサンゴ礁」をどうぞ。

 

 

 メインボーカルの町田義人さんは、このヒットの翌70年にはズー・ニー・ヴーを脱退し、ソロ活動が長い。最大のヒットは、映画『野性の証明』の主題歌「戦士の休息」(1978)。宏美さんとの関係で言えば、1986年の『レ・ミゼラブル』初演の際にモンパルナス役で共演している。ライナーノーツによれば、当時終演後ご一緒に打ち上がったりしていた仲らしい。😊

 

 

 宏美さんは、『Dear Friends Ⅶ 阿久悠トリビュート』でこの曲をレコーディングしている。編曲はお馴染み古川昌義さん。イントロのベタなドラムスのフィルインが、もろに時代を感じさせる。その後のリフは、オリジナルではこれも当時らしいハモンドオルガンで奏していたものを、古ちゃんのギターがカバーしている。曲のつくりも、AABAの32小節がワンコーラス、全体でワンハーフの超シンプルなものだ。

 

 夏の海らしい爽やかなサウンドだが、歌詞の内容は「♪ いつか愛する/人ができたら」と、解放的な夏に似つかわしくない、ピュアな主人公の想いを歌っている。宏美さんのバージョンは古ちゃんと藤田真由美さんだが、オリジナル盤とはコーラス・アレンジが全く違っている。

 

 明るい未来を謳った若者の心情を、宏美さんは比較的あっさりテイストで全体をまとめておられる。サビのBパートで若干お声を張るくらいだ。懐かしいサウンドと宏美さんの透明感のあるお声に心地よく酔っていただこう。

 

 

(2014.8.27 アルバム『Dear Friends Ⅶ 阿久悠トリビュート』収録)