韓国のテレビドラマ『冬のソナタ』(2002)の挿入歌。『冬のソナタ』は、ご存知の通り、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウが主演、世界中の韓流ブームの先駆けとなった作品である。宏美さんも御多分に洩れずこのドラマにハマり、この歌を『Happiness』のボーナストラックとして収録している。

 

 

 オリジナルは、韓国のシンガーソングライターRyu。作詞作曲も彼の手になる。Ryuは『冬のソナタ』の主題歌である「最初から今まで」「My Memory」を歌ったことで一躍名を馳せた。彼の情感溢れる歌声が、純愛ストーリーの世界観をより美しく広げたと言われる。確かに彼の歌声は魅力的である。まずはオリジナルを聴いていただこう。

 

 

 歌詞は、「ぼくが傍にいなくても忘れないで。どこであってもぼくが守ってあげるよ。ぼくが行くまで待っていて」というような内容らしい。

 

 宏美さんバージョンは、30周年記念コンサートのアレンジも全て担当した青柳誠さんの編曲だ。青柳さん(Pf)、柏木広樹さん(Vc)、三沢またろうさん(Perc)の3人だけの小編成である。ピアノとチェロの音が印象的なイントロからのロマンティックなサウンドは、オリジナルを踏襲している。

 

 そして宏美さんのボーカルが、低音域で愛を囁くように甘く歌い出す。パーカッションの音も耳に残る。ブリッジに当たる「♪ 내가 지켜줄께요(ネガ チキョチュルケヨ)〜」からはマイナーに傾斜し、切ないメロディーが中音域で展開する。

 

 ワンコーラスを終え、間奏の後ブリッジから繰り返される。その際、サビ前のフェルマータでシンバルのトレモロが入り、「♪ 기다려요(キダリョヨ)〜」でメジャーに戻るところがよりいっそう効果的になる。宏美さんのファルセットが高音域で響き、心が洗われるようだ。そして「♪ 잊지마 (イッチマ)/잊지마(イッチマ)」と祈るように繰り返すところは、人生経験を重ねた宏美さんの説得力のある歌唱が沁みる。

 

 

 また宏美さんは、この歌を30周年記念のコンサート『Happiness』でも取り上げている。映像も残っていることが嬉しい。このライブバージョンでは、チェロ(多井智紀)→ギター(馬場一嘉)→バイオリン(真部裕)とソロのリレーを繋いでいきながら、前半のAパートを宏美さんは歌わず、日本語訳の詞を語るという演出が行われた。これも必見・必聴である。

 

 私は『冬のソナタ』は全く見なかったし、韓国語も解らない。なので、この曲がどんな場面で流れたとか、Ryuさんの歌のココが萌え〜とか残念ながら全く分からない。ご覧になられた方、韓流ファンの方、是非思いの丈をコメント欄で紹介してください!

 

 

 私の以前の職場の先輩で、見事に韓流ドラマにハマってしまった女性がいた。だが当時彼女はインターネットもロクにできなかったので、私がオークションで代理入札をしていた。この『冬のソナタ』はもちろん、片手では足りない他の作品の中古DVDを安く落札してあげていたことも、懐かしい思い出である。

 

 そして今、うちの娘に韓流ブームが訪れている。時々家族LINEにハングルを送ってきたりする。いちいち翻訳ソフトにかけるのが面倒なのでやめて欲しいのだが。さらに、カレシがいるクセに、「イケメンの韓国人と付き合いたい」などと宣う困った娘である(汗)。

 

(2004.10.16アルバム『Happiness』収録)