実写版『美女と野獣』(2017年)のナンバーから。原題は「Be Our Guest」、宏美さんはもちろんポット夫人役。日本語吹き替え版のオーディションで役を射止め、見事念願のディズニー映画初出演を果たしたのだ。

 

 魔女の呪いで様々な家具に変えられてしまった、傲慢な王子(=野獣)の家来たち。この歌は、彼ら家来たちが久々のお客様であるベルを迎えて、晩餐会を開くシーンの楽しいナンバーだ。ルミエール(吹替:成河)をメインに、後半はポット夫人こと宏美さんの登場である。ポット夫人はメイド頭という役どころで、大いに張り切っている様子が窺える歌いぶりである。プリュメット(島田歌穂)、コグスワース(小倉久寛)、チップ(池田優斗)らもコーラスで加わり華やかだ。

 

 この映画は、もちろんフランスの民話を下敷きにしていて、歌詞にも「フランスですからね」などと出てくるのであるが、音楽は完全にアメリカン・エンターテインメントである。アラン・メンケンの面目躍如と言ったところか。「♪キャンドル輝く おしゃれな食卓」の後ググッとブレーキをかけて、「♪最、高、のごちそう〜」からどんどん速くなっていくお約束のエンディング、分かっていても痛快だ。

 

 

 この映画を観に行った時、私たちの前の席に若いカップルが座った。映画が終わった後の会話を聞くともなしに聞いてしまったのであるが、男の子が「ポット夫人、岩崎宏美だって。ヤベーな、岩崎宏美」女の子も「ホント、すごい❣️」と絶賛の嵐。この映画への吹き替えでの出演は、若い世代に「岩崎宏美」の名を、そして実力を知らしめるいい機会にもなったようだ。

 

 以前もご紹介した臼井孝さんのラジオ番組『渋谷のベストテン』の岩崎宏美限定ベストテンでは、ダンスシーンでポット夫人こと宏美さんの歌う「美女と野獣」が何と堂々のベストテン入りを果たしていた。ディズニー映画の威力恐るべし、である。

 

 なぜ主題歌の「美女と野獣」ではなく、この「ひとりぼっちの晩餐会」をブログで先に取り上げたのか。実はそれには理由がある。この曲には、日本語版のサントラに未収録の別バージョンがあるのだ(歌詞も少し違う)。

 

 オリジナルのキャストの方たちが肖像画風に並んでいて、それが一人ずつ吹き替えのキャストに替わって行って歌い出し、それが重なり合ってどんどんア・カペラの極上コーラスになっていく。この「Be Our Guest/プレミアム吹替版 オールスターズ」の特別映像があまりに素晴らしくて、私は何度見ても飽きない。もちろん、宏美さんもものすごく素敵である。多くの方はすでにご存知かとは思うが、一人でも多くの方にご覧いただきたくて、この歌を選んだ。

 

 では、この特別映像を、どうぞゆっくりお楽しみください❣️

 

 

(2017.4.19 『美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック - デラックス・エディション - <日本語版>』収録)