苦の原因になる欲は無くせるか? | 仏光さんの心の相談室

苦の原因になる欲は無くせるか?

お釈迦様はが良く、自我が苦しみの原因であると説いておられます。私の人生を振り返っても、苦しかった時はその根本に自分の我や欲があったと思います。だから仏教でいう煩悩が苦しみの元であるというのは真理です。しかし、全く欲を亡くしてこの世で生きていければいいのですが、生きて生活している限りなかなかそれは難しい事です。全く欲を亡くして仏様のように生きていければ本当にそれに越したことはありません。しかし、人間には生物として生きるための食欲、性欲、睡眠欲の自然欲や、物欲名誉欲などの人間欲があります。


これを無くせと言われても全部無くすことはできません。ただ、物欲と名誉欲の人間欲はその愚かさに気付けば極端に少なくすることができると思います。仏道修行でよく分かったことなのですが、「小欲知足」、必要以上の物を欲しがらないというのは大切な事です。生活していくにはお金は居るし、少しは普通の楽しみとして外食したり、旅行に行ったりするのも必要でしょう。まあそれも含めてつつましく生きるというのは、人生の中の色々な苦しみを回避してくれます。特に名誉欲などはそれこそ毒と言っても良いかも知れません。


普通一般の世のなかではお金があって名誉な社会的肩書があればそれで「成功」という事になります。実際若い頃の私はアメリカの上場企業で役員をして、日本の現地法人では社長を兼務して、それこそお金と名誉の両方とも手に入れていましたが、今から思うとちっとも幸せではなかったなと思います。そういうものが若くして手に入るとどうしても傲慢な人間になり、自分だけが「俺は成功者だ」と悦に入っているだけで周りからは嫌われる人間になるのですね。


こういうものを今持っていない人は、お金や名誉が手に入ったらさぞかし幸せだろうと思うかも知れませんが、実際それを経験した私から見ると、それが人間本来生きている間に味わうべき幸せとはかけ離れているように思います。イエスキリストが「金持ちが天国に行くのはラクダが針の穴を通るより難しい」と説きましたが、私もまさにその通りだと今は思います。生きるために必要なもの以外は持っていない人の方がはるかに身軽で本当は幸せなのです。


とは言え頭で分かっていてもそれを心の底から「そうだ!」と思えないのも人間です。だから苦は続くのですね。私は本当の無欲になるのは大変難しいと思います。それは自然欲もそうだし人間欲もそうです。でも物欲、名誉欲などの人間欲は無くそうと思えば少なくしていくことはできます。しかしDNAのプログラムからくる自然欲は生物である限り死ぬ以外は無くすことはできないだろうと思っています。「だから苦しむ」ではなくて、そういう事を理解しながら心のトレーニングを続けるのが人間としてできる最上の事だろうと思います。


何もしなければいつまでも苦しみは続きますが、自分の我や欲を少なくして少しでも穏やかな心で一日を過ごす努力は大切ですね。その辺りが人生としては妥当なところでしょう。「いや俺はとことん極める」という人は、山でも滝でもどこにでも行って一人苦行をされたら良いでしょう。でも私はこのある意味泥まみれの人間社会が嫌だけれども、やっぱり好きなのです。だから無理をせずに、でも流されずに生きていきたいと思います。私など正直に自分を振り返るとまだまだ欲の塊です。これからも私の修行は続きますね。


合掌


仏光

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