何事も発心(ほっしん)が大切 | 仏光さんの心の相談室

何事も発心(ほっしん)が大切

人は皆、自分の思うとおりになって欲しいと思うものです。何でもかんでも自分の思う通りになってくれたら幸せと思うのですね。でも実際はそうでもないのです。私がアメリカの上場企業に就職してトントン拍子に出世した時は、「自分には念力があるのかな」と思うくらいに何でもかんでも思い通りになっていたように思います。もちろん小さな事で思い通りにならないこともありましたが、良い悪いは別として考えていた事はほぼ実現しました。


自分が思う通りになったのでそれで幸せになったかと言うと、全然幸せにならなかったのですね。本当にろくな人間にしかならなかったのです。自分がろくでもない人間であると思ったのは社長をクビになってからです。私は最初何故自分の思う通りになっていたのにろくでもない人間になったのか分かりませんでした。


今から思うと、自分の思い通りになってきたから私はろくでもない人間になったのですね。自分の思い通りに何でもなると人間は傲慢になっていきます。日本に作った現地法人の業績は私がリーダーとなって開発した製品のお陰で4年で年商20億円近くまでトントン拍子に上がっていきました。私を含めてたった7人の会社で20億円です。しかも粗利益率は50%近くもありました。こうなると「自分はビジネスの天才だ」と思うようになるのですね。こういう風にして私はどんどん傲慢な人間になっていったのです。


自分の思い通りになっているのにろくでもない結果に終わるのは何がいけなかったのでしょうか?それは発心が間違っているからろくでもない結果になったのです。発心(ほっしん)とは禅の言葉ですが、「動機」という意味です。自分が何かをする動機が間違っていると、いくら物事がうまく進んでも間違った結果に終わるのですね。だから禅では発心が非常に大切であると言われています。禅を始める動機が大切なのだという事です。


私は自分をこの世で活かす為ではなく、自分の立身出世のために働いていたのです。要するにお金や地位みたいな見てくれの成功を追い求めていたのですね。なるほど自分が思う通りに出世してアメリカの上場企業で本社では役員で現地法人の社長になりました。でも発心が間違っているから、自分の思う通りになってろくでもない人間になっていったのです。


5年前に私は今の事業を起業しましたが、独立して事業を起こす発心はもちろん自分の生活の為でもありましたが、「自分を活かして人様のお役に立ちたい」というものでした。社長をクビになってから、このように思って起業するまで毎日坐禅をしながら10年近くの年月が必要でした。でも今回この私の発心は間違っていないと思います。何故なら色々苦労はありますが、毎日平穏で幸せを感じて暮らせているからです。だから禅でも仕事でも何でも発心が大切なのですね。


世の中では普通自分の欲望の現実を夢とか希望と呼んでいる場合が多いです。私が外資の社長になるのも夢でした。でもこれは自分の我欲の現実を夢と呼んでいるのですね。我欲の現実化は幸せにはつながらないのです。何をするにも自分の発心を確かめてみるのが大切だと思いますよ。それが幸せになる第一歩です。


合掌


仏光

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