夢と現実 | 仏光さんの心の相談室

夢と現実

今日は建国記念日で休みです。昨夜から少し雪が降っていて寒い一日になりました。雪が降ると庭の餌場に集まる小鳥が増えます。雪で食べるものが埋まってしまうのでしょうね。今はシジュウカラが餌場にやって来ています。このような光景を見ながらゆっくりとした時間を過ごすのは、とっても贅沢ですね。


今日は少し風邪気味ですが、友人夫妻が来るので、薪ストーブの上でキャベツのポトフをコトコト煮ています。昼過ぎにやってくるのでその頃には美味しくできていることでしょう。こういう休みは楽しいですね。毎日忙しく仕事をしている甲斐があります。風邪もすぐに治るでしょう。私は仕事をしているから休みが楽しいと思います。だから死ぬ前の日まで仕事をしたいと願っています。


私が住んでいる山の家がある別荘地に、定年退職をしてから引っ越してこられる夫婦が多く居られます。「都会で働いた後は田舎暮らしが夢でした」というパターンです。近くにはゴルフ場もあるし、景色は山の上で良いし、こういう生活を夢見て来られるのですね。もちろんそれは大変良い事だと思います。


ところが実際。山の上で生活するのにはそれなりのノウハウが必要です。今回のように雪がいっぱい降ると道の真ん中で止まって動かなくなった車も出てきます。こういう天候の中、後輪駆動の車にノーマルタイヤを履かせて雪の坂道を走ること自体が無理なのですが、やはりそういうことが分からないのですね。本人も大変な目に遭いますが、周りにも多大な迷惑をかけます。


まあこういう事ばかりではなく、若い頃より住んでいると歳をとっても田舎に住めますが、歳をとってから田舎暮らしをするのは色々思い描いていた夢と現実のギャップに戸惑うことになります。それでもこういう生活に適応していけば良いのですが、なかなか思うように行かずに夫婦でまた都会へ帰って行かれる方も居られます。仕事をせずにこういうところに住んでいても最初の半年くらいは良いかも知れませんが、すぐに趣味にも飽きてつまらなくなってしまうのですね。


大体人間は夢と現実のギャップに苦しむようにできています。恋愛と結婚の違いは、恋愛には夢があり、結婚には現実があるというところです。恋愛の間は「二人の世界」で夢に浸って居れば良いのですが、結婚となると式場選びや席順など、いきなり現実問題が降りかかってきます。ここら辺りから意見が対立するようになって来るのですね。夢ではなく現実になるのです。


人生もそうですね。思い描いていることと現実とには大きなギャップがある人も多くいます。ありがたいことに今の私は幸せに生きていくのに「夢」とか「希望」は必要ありませんが、若い頃は夢や希望に燃えて頑張っていたように思います。まあ、若い頃だからそれでも良かったのですね。


実際に描いていた「世界を駆け巡るビジネスマンになりたい」という夢の通りに外資の社長にまでなりましたが、やはり現実は違いましたね。夢の通りになっているはずなのに、ちっとも幸せではありませんでした。それより自我やプライドばかりが強くなっていって、ろくな事はありません。


まあ肩書き、権限、高収入を得ながら大変つまらない人間になっていたのです。それが現実でしたね。本当に馬鹿みたいな話です。ビジネスを遂行していくマネージメント能力や才能は人並み以上にあったかも知れませんが、つまらない心を持った人間に成り下がっていたのですね。


こういう人間は世の中に案外多いですね。私も昔はその一員でしたが、社長をクビになって坐禅と出会って坐禅で私は救われました。あのままクビにならずに、外資の社長で今まで生きていたとしたらどんな人間になっていたのかと思うとゾッとします。昔を振り返ると多かれ少なかれこういう人間がビジネスの世界にいっぱい居たと思いますよ。


しかも、このような自我やプライドが強い人間になってしまうと、自分がつまらない人間なのだということすら自分で分からなくなるのですね。「世の中でこんな立派にしている俺の何処が悪いのだ!」と愚かにも思い込んでしまうのです。人間というのは本当に愚かなものですね。


大体「夢」とか「希望」などと言っていますが、よく中身を見てみると実際は自分の自我や欲の現実化を「夢」とか「希望」と呼んでいる場合が多いです。昔の私などその典型でした。社長になって、金持ちになって、周りにいい格好をする事を結局は「夢」と呼んでいたのですね。ああ、つまらない夢だったと思います。


今の私に「夢」は不必要ですが自分の目的は仕事にしても生活にしてもきちんと達成できていると思います。坐禅のお陰で「夢」など無くても普段の現実の中でもいっぱい幸せを感じて生きて行くことができるのだと気付きました。でも辛い時には夢や希望があっても良いと思いますよ。ただ夢や希望の内容を自分でもう一度確かめる事は必要かも知れませんね。


合掌


仏光


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