人間の五欲 | 仏光さんの心の相談室

人間の五欲

人間には五欲というものがあります。これは仏教用語なのですが、食欲、色欲、睡眠欲、財欲、権力欲を五欲と呼びます。この五欲は人間ならば誰でも持っているのですね。私もこの五つは全部持っています。まあ持っているどころか業深く生まれている分、大変強い五欲を持っていると思います。そしてこの五欲が人生に様々な災いをもたらすのですね。


ただこの五欲ももっと正確に言えば二つに分けることができます。食欲、色欲、睡眠欲は人間が生物として持つ「自然欲」です。ところが財欲と権力欲は人間本来の欲と言えるかも知れません。財欲や権力欲の強い猫とかキリンなどは存在しないのです。食欲、性欲、睡眠欲の三つの自然欲は満たされるとその瞬間から消えていきます。そしてまたしばらくすると出てくる欲です。お腹が減っていてもありったけ食べるともう食欲などは失せてしまいます。性欲や睡眠欲もそうですね。だからまだ人生に対する被害は少ない方です。


でも財欲と権力欲は手に入れば入るほど「もっと、もっと」と欲しがるようになります。そしてこれが人間として一番厄介な欲であり、この欲によりせっかくの一生を台無しにしてしまうのですね。自然欲は動物なら誰でも持っているものですから無くすという事はできません。


食欲、性欲、睡眠欲は生きている限りなくなる事はありません。老人病院で認知症が進んだ人が最後まで持っている欲はこの三つの自然欲で、認知症で理性が無くなる分、全ての行動にこの三つの自然欲が強く現われて来ます。


認知症ではなく理性が働いている間は、これらの欲はうまく隠されて表に出なくする事ができます。隠されているだけで無くなっている訳では無いのですね。要するにこの三つの自然欲を理性が制御しているのです。私の場合はこの自然欲が人並み以上にあるので制御するのに一苦労です。それこそ坐禅をいくらしても仕切れないほど自然欲が強いと思います。


時々制御しきれない時もあります。美味しいものがあると食べたくなるし、美人を見ると放っておけなくなります。「英雄色を好む」ではありませんが、人間としてエネルギーレベルが高い人はこの自然欲も強いのだと思います。これも自然の摂理かも知れませんね。私は死ぬ前の日までこの三つの自然欲との葛藤を続けなければなりません。これが私の持って生まれた業です。


ただ財欲と権力欲は人間本来の欲なので、これはトレーニングによってコントロールするのが比較的容易です。「食欲や性欲を無くせ」と言われても無くす事はできませんが、財欲と権力欲は無くす事ができると思います。無くさないまでもコントロールすることはできるのですね。


私は坐禅を続けてきて、この財欲と権力欲はかなり無くなったと思います。今自分がしなければならないことを一生懸命していれば、財欲が無くてもお金は必要なだけ入ってくるし、権力欲が無くても社会的にある程度の地位に就き、ある程度の権限が与えられます。


だからこの二つの人間欲は心のトレーニングによって無くしていく事ができます。この二つの欲が無くなるだけでも随分人生が楽になりますよ。昔は何故お金や権力を求めていたのだろうと不思議に思ったりさえします。そんなものを追い求めない人生が本当に素晴らしいと分かると、こんなくだらない欲は無くなっていくものです。


私の課題はやっぱり自然欲の食欲、性欲、睡眠欲ですね。こいつは坐禅を毎日して何とかコントロールできるようにしていきたいと思います。世の中には禁欲主義者の人もいますが、これらの欲を抑圧するともっと深刻な問題が心に起って来るので、上手くコントロールして行く方法を自分なりに見出していくのが現実的なところだと思っています。


まあ人間なかなか煩悩からは解脱する事はで来ませんね。でもそれを充分ではなくても何とかコントロールして行こうとする心の姿勢が人生をより良いものにしていくのだと思いますよ。諦めずに自分の欲をコントロールしていく努力を続けて行きたいと思います。


合掌


仏光

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