やっと帰って来ました | 仏光さんの心の相談室

やっと帰って来ました

今日やっと禅道場の修行から帰って来ました。大変修行らしい修行になりました。きつかったけれども良かったと思います。最終日は昨日の夜から今日の午前中まで夜通し坐禅をする「徹宵(てっしょう)」と呼ばれる修行でした。しかし、実際は道場で寝泊りしながら土曜日の朝五時前に起きて朝の修行と老師への参禅を済ませ、そのまま出勤して仕事を一日していました。土曜日は何時も大変忙しく体力も消耗します。仕事が終わってから夕食をとり、道場に帰ってこの徹宵坐禅に参加しました。だから今日の午後、家に帰って寝るまで約32時間以上殆ど起きていたことになります。


これはただ坐禅するだけではなく、夜中と早朝に老師への参禅もありますので、結構きついですね。こういう話をすると皆さんから「身体に気をつけてください」と言われるのですが、やってみると案外簡単に出来るものです。そりゃきついところもありますが、きつくなければ修行になりませんからね。これで良いのだと思います。この一週間殆ど道場で寝泊りしながら禅の修行と仕事をしてきましたが、こういうことを繰り返ししているから普段の仕事などできつい場面があってもある意味へっちゃらでいられるのだと思います。


こんな事が初めから出来たわけではありません。最初は修行がきつくてしょうがなかったですね。何とか楽をしようとして色々考えていたものです。でも今から思うときつい事から逃げようとすると余計きつくなるのですね。今回はきついのが前もって分かっていたので、「ドンと来い!」くらいの気持ちで向かっていましたので、それほどきついとは思わなかったです。きつかったのは道場と仕事を両立する生活面ではなく、老師への参禅です。これは今回大変きつかったですね。


参禅では自分の持って行った答えが違っていると老師に鈴を振られます。鈴を振られると何があっても参禅の間から出なければなりません。その鈴の音は修行者には「帰れ!帰れ!」と聞こえます。今回は精も根も尽き果てるほど坐禅をしながら色々公案の工夫をして、やっと老師へ参禅しても鈴を振られっぱなしでした。私が間違っているのです。また一からやり直しですね。これを何回も繰り返していくと段々と「もう一生この答えは自分から出ないのかな」とかマイナスの感情が心に湧いてきます。今回は久しぶりに自分の心との戦いみたいなものでしたね。やっと答えがわかって老師に参禅する時に「これで間違いない」という確信で思わず顔がにやけました。お陰さまで公案は通りましたが、何日も苦労した分得たものも大きかったと思いますよ。


考えてみれば入門当初、最初の公案の問題に取り組んでから、それが通って見性するまで2年間、老師から鈴を振られっぱなしでした。今までよく続いたものだと思います。元々私は色々な障害があっても根気良くこつこつ努力するタイプの人間ではありませんでした。それがこういう訓練をすると人間が変っていくのですね。自分を振り返ってその変わり様に我ながら驚くことがあります。


間違いが無いように言っておきますが、最初からこんな事ができたわけではありません。何故だか分からないけれども死ぬほど辛かった自分を変えたかったので少しづつ禅の修行が進んで行ったのです。これは私でなくても誰でもその気になれば出来る事だと思います。最初は全然不十分でもそのうちに出来るようになるのですね。これが坐禅の修行の不思議なところです。それまで頭で色々ゴチャゴチャ考えているのですが、段々考えないようになっていきます。そして考える前に身体が目的に対して的確に動くようになります。すると結果は良いわけです。やはり考えではなく行動することが自分を変えていくのですね。


まあ私は死ぬ前の日までこういうことをしていくのでしょうね。これしか自分が正しい道を進んでいく事ができないと思いますから。せっかくの一生ですからね。間違っているより正しい方が私は良いのです。不安や怒り、人との競争、取り越し苦労や落胆などで一生を過ごすのが嫌だったので禅を始めたのですから、やはり死ぬまでやめられないのですね。お陰さまで今は忙しいけれども心は穏やかな毎日を過ごせているので本当にありがたいと思います。やはり心も毎日のトレーニングですね。何もしないと何も変わりませんから。明日からまた普通の日々が始まります。何が無くとも普通が何よりです。「無事是吉祥(ぶじこれきっしょう)」ですね。


合掌


仏光

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