★真打落語家 立川こしら師匠 日本語講師のための特別講演
5月19日の日曜日、午前10時30分より在韓日本語講師研究会と共同開催でZOOMオンライン例会が開催されました。今回は特別企画として、真打落語家の立川こしら師匠をお迎えし、日本語講師のための特別講演が行われました。韓国各地からと、日本のから先生方が約30名参加しました。
落語家の立川こしら師匠は今年4月に釜山外国語大学で学生を対象にした落語の公演会がありましたが、参加した学生たちに大好評で、終了後はサインを求める行列ができるほど大盛況でした。
こしら師匠は講演を終えられたあと、学生だけでなく先生方にも講演会を通し、交流できればればうれしいということで連絡をいただき、今回の「日本語講師のための特別講演」として開催される運びとなりました。
講演が始まると、参加した先生たちの関心や意見を尊重するために、一度お話しを 20分程度で短く区切り、質問を受けてくださいました。 その中から落語家の立場からの御経験や見解で回答をくださり、 私たち日本語講師の事情に合わせて、話を進めてくださいました。
特に初めのお話しでは、学生たちの心をつかむためのアドバイスをくださいましたが、その中で落語家も聴衆をの心をつかむために、まず第一に、聴衆を把握することから始めるという 点を強調されました。あるときは観客の持ち物などを把握したり、 何が好きなのかを尋ねたり聞いたりしながら、 興味をひく内容からまず始めることで聴衆の心に入り込んでいきます。
また、学生たちを対象とするときは「わたしは君たちの味方なんだよ。」 という対等の立場で相手の懐に入ってこそ、初めて話を聞いてくれるという話もされました。プロの落語家で、どんなにうまく話せたとしても、まずは聴衆の心をつかむことから始めることが大切だということを強調され、我々日本語講師も大変共感できる内容でした。
その他にも例を挙げながら、様々なお話をしてくださいましたが、リクエストにお答えくださり、有名な古典落語の演目のひとつ「ときどそば」を即興で10分ほどに短く実演もしてくださいました。
お話しが始まると、参加した先生方は一瞬にして、その見事な落語の世界に聞き入り、うなづいたり、笑ったり、そのリアルな反応がモニターで見られました。真打落語のプロフェッショナルなカリスマも感じることができ、楽しく有意義で、あっというまに過ぎた2時間でした。
こしら師匠は今後も韓国での活動を積極的に行いたいということです。
今回は釜山で講演会が行われましたが、近い将来、首都圏の日本語講師を中心に企画して、ソウルの大使館や日本人会などの協力を得たり、いくつかの大学で協力したりして、首都圏での落語講演会が開催されることを願っております。
その講演会を通して、より多くの方々に日本文化や落語の魅力が伝わる機会となれば幸いです。
文責:柴田文武
★以下に参加された先生方の感想文を抜粋し、掲載いたします。
- 今日は楽しいお話と、力のこもった落語をお聞かせ頂き、ありがとうございました。無茶振りにお応え頂き、ただただ感謝致します。 実は「赤めだか」を読んでから、立川流、また落語に興味が湧き、落語初心者用のネタの本などを読んでおりました。 今日さまざまな名言を聞き、落語とは人生を生き抜くヒントをくれるのだと再確認しました。 なかなか帰国する時間がとれませんが、日本でぜひ寄席に行ってみようと思います。 ぜひ今度は韓国の会場で公演をお願い致します。ソウルでも釜山でもどこでも見に行きます!
- 本日は大変楽しく、また有意義なお話をたくさん伺うことができました。 ありがとうございました。 まず、こしら師匠のように話すことが仕事で、しかも話術をもって、人を楽しませるという落語家さんでも、そのためには常に緻密な構想と準備をされているということを知り、我が身を振り返り多いに反省いたしました。わからない言葉があっても飛ばしていい、この言葉も日本語を学ぶ学生たちの読解の仕方に通じるものがあり、印象に残りました。是非一度寄席に行こうと思います。益々のご活躍をお祈り申し上げます。ありがとうございました。
- 先日、柳家花緑師匠の落語(試し酒)を生で聴く機会があり感動したばかりです。落語家さんの話術にはいつも感心させられます。落語には「オチ」があるのが普通と思っていたので、今日のお話でそうではないことがわかり「目から鱗」でした。「落語」の日本語は難しいので、日本語教育で「落語」を授業に取り入れるのはハードルが高いのですが、こしら師匠のお話を聞いて、そんなに構えなくてもいいのだと思えるようになりました。今後はもう少し気楽に考えていきたいと思います。ご講演&オンライン落語をご披露していただき、ありがとうございました。
- 先日は貴重な特別講演をありがとうございました。落語についての知識があまりないのですが、おもしろそうで、授業で扱ってみたいと思いました。 あと、アニメが好きな生徒は沢山いるのですが、私が知らないアニメが多く、話しが広がりませんでした。でも、それを「日本人でも知らないアニメをよく知ってるね!」とほめることで話しを続けることができ、相手の気分も良くなることは新しい発見でした。
- 話芸のプロの方から聞き手(学生)の心をつかむ方法を教えていただき、勉強になりました。特に、海外での講演の経験も豊富で、その実体験をもとにお話しくださったので、非常に実践的な内容だと感じました。ありがとうございました。
- 落語家としてのお立場から、聞き手を惹きつける話し方の秘訣をお聞きすることができ、大変勉強になる2時間でした。話し方のコツだけでなく、落語そのものについても理解を深める時間となりました。落語は庶民や貧乏人のお話ということや、人間の業を肯定するといったお話が印象に残りましたし、少々ダメな人間でもいいんだと勇気づけられました。日本の文化を日本語学習者に伝えるというのではなく(そんなふうに堅苦しく考えるのではなく)、学習者と一緒に「人間の業の物語」を楽しめたらいいなと感じました。
- ・落語と日本語教育、両者とも人前で演じることという共通点があり、共感できる点がたくさんありました。(学生はデジタルネイティブであり、我々は常に彼らから学ぶべき存在であること、学生の共感を引き出すこと、そのためにはタイミーに登録することも辞さないことなど等)・こしら師匠の画面からあふれる色気とオーラに、大変緊張しましたが、不躾な質問にも快くお答えしていただき、感動いたしました。これからも陰ながら応援しております。ありがとうございました。


