飛行服夜話 第二十四夜「B-15B(後編)」 | 飛行服千夜一夜物語

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どんなフライトジャケットにも、袖を通した者と歩んだドラマがあるもの。
飛ばなくなったフライトジャケット達との思い出話と、そこに秘められたヒストリーを紹介します。

 こんばんは。

 今回はB-15B特集の後編です。前編をご覧になっていない方は、↓のリンク先をどうぞ。

 

 B-15Bには全部で5本の契約がありました。それぞれの特徴について見てみましょう。ちなみに写真はネットからの拾い物と飛行服発達史です。


① AF33(038) 6229 GREAT LAKES GMT. MFG. CO. (SPEC. 3220B、1949年度契約)



・色はかなり緑の強い美しいオリーブグリーン。(個人的に一番好みの色)

・生地が薄いのか、擦れてボロボロの個体が多い。

・GARDNERの次に見かける(全体の2割くらい)。

・襟ボアは焦茶ムートン。

・メインジッパーはタロン。ナイロンジャケット以降でタロンを使用した例って、B-15B以外に無い気がする。見た感じ#5ジッパーかも。

・このジャケット最大の特徴は、ジッパー右のナイロンテープの取り付け方にあり、両端がビラビラする独特の取り付け方のため、ジッパーの右半分が隠れてしまう。ビラビラがカッコ悪いのか、リプロ化されていない。


・シガレットポケットのジッパーは棒タロン。穴が小さいのでプルタブは付かない。


・オキシジェンタブは、ほぼ等分に縦4本のステッチが入る。幅も狭い。




② AF33(038) 7435  REED PRODUCTS INC.(SPEC. 3220B、1949年度契約)



・オリーブドラブが見事に銅色に変色している。スナップボタンとリブで元の色がわかる。

・メインジッパーとシガレットポケットジッパーは共にクラウン(おそらくL-2と同じタイプの#5ジッパー)。プルタブのステッチ形状はREED社特有の台形。

・メインジッパー右のナイロンテープの下端に三角の補強ステッチが入る。


・オキシジェンタブには4本のステッチが入るが、真ん中の間隔が広い。REED社製のオキシジェンタブは写真のようによじれてしまう傾向がある。革質は良い。




③ AF33(038) 7653  SIGMUND EISNER CO.(SPEC. 3220B、1949年度契約)

・昔のベルベルジンブログから拝借した画像。暗い部屋での撮影だが、色味はGREAT RAKESに似ている。

・B-15Bの中でも結構珍しい。

・メインジッパーとシガレットポケットのジッパーはクラウン(REED社製と同じ)。

・タブのサイズ表示はインチ表示とSML表示を併記している。(しかし42ってMEDIUMなの?)

・オキシジェンタブのステッチはREED社製に似ているが、やや幅が広い。


・両ジッパーのプルタブのステッチは長方形のようだが、上辺は二重で下辺がややラウンドしている。




④ AF33(038) 12016  THE GARDNER CORPORATION (SPEC. 3220C、1950年度契約)


・最もよく見かけるB-15B(全体の7割くらい)。

・タグ画像では下側しか残っていないが、本来は黄色の線で上も横も囲われている。

・上の画像は自分のB-15Bと同じ契約ではあるが、異なる部品を用いて製造されており、見た目にも大変雰囲気が異なる。

・襟ボアは、一般にはブラウンのムートンであるが、焦茶色のアクリル製もある。

・ODのアウターシェルは、経年により「薄いオリーブグリーン」、「濃いオリーブグリーン」、「銅色」のいずれかに変色

・メインジッパーは真鍮製の針金タロン。#8ジッパーのようにも見える。

(一般的にはプレンティス#8が用いられ、革タブのステッチはティアドロップ形状)


・シガレットポケットのジッパーは、GARDNER社製は全てプレンティスを使用。革タブは付いているものと、最初から付いていないものがある(気がする)。


・オキシジェンタブは、縦3本ステッチの幅が狭いタイプ(左)が一般的。縦2本ステッチの幅が広いタイプ(右)も結構ある。




⑤ AF33(038) 12998 GREAT LAKES GMT. MFG. CO. (SPEC. 3220C、1950年度契約)

・詳細不明、見たことが無い。B-15Cの契約準備も進んでいたため、ほとんど製造されなかったのでは?

・もしかしたら3220Cは、メインジッパーに幅広の#8を使用しているかもしれない。




 それでは実際の着用例を見ていきます。B-15Bは着用例が少なく、確実にB-15Bと識別できるような写真となると、なかなか見つかりません。


① 39th FIS所属のパイロット達です。左からB-15B、L-1Aスーツが2人、一番右はB-15Aを着用しています。B-15Bのパイロットですが、サイズが小さいのか窮屈そうです。

写っている機体は39th FIS所属のF-51Dです。

 39th FISは防空戦闘を任務とする飛行隊で、終戦直後の1945年9月からP-51Dで日本の防空を担っていました。朝鮮戦争には当初から参加し、1950年はF-51DとF-80の2機種態勢で、韓国での防空戦闘を実施しました。現在は練習飛行隊となっています。



② 1955年に撮影されたこちらの集合写真は、14人中、何と7人がB-15Bを着用しているという稀有な写真です。後ろにT-6練習機が写っているので、練習飛行隊の教官達でしょうか?

 なぜか皆さん、ジャケットにネームプレートも部隊パッチも階級章も付けていません。また、フライトジャケットの耐用命数って、精々3年程度かと思うんですが 、1955年ということは、B-15Bの支給から4〜5年は経過していると思います。物持ちがいいですね。訓練部隊だからなのか、B-15DやMA-1といった新型ジャケットの支給が遅れたのかもしれません。




 B-15Bのリプロ品を紹介しようと思ったのですが、今、どこも出してないんですね。ただし、今年の秋冬モデルとして、バズが出すようです。




 GARDNER社製がモデルですね。オキシジェンタブは幅広タイプです。このバズのジッパーはタロンですが、プレンティスの復刻ジッパーなんてそもそも存在しないので、実物との違いなんか気にせず、雰囲気(これが一番大事)で選びましょう。




 B-15B特集はこれで終わりです。

 B-15シリーズだけは順番に紹介してますね。せっかくなので、MA-1までは、この流れで行きたいと思います。

 次回もお楽しみに!