こんばんは。
今回も「トップガン」に絡んだ話題から始まります。 ……引きずりますね。
トップガンといっても古い方のです。
主人公マーベリック(ピート・ミッチェル大尉)のフライトジャケットといえば「G-1」が有名ですよね。
パッチを大量に貼り付けたG-1ジャケットは、当時の男子の憧れでした。
このG-1ジャケットは理屈抜きにカッコよかった。ツヤと皺の入りがビンテージG-1のように見える。
このG-1ジャケットは「事故死」とされた父親「デューク・ミッチェル」の形見という設定でした。
G-1ジャケットは、元はM-422という名前でしたが、1940年から現在まで支給が継続されている、まさに「生きた化石」とでも言えるようなジャケットです。
だからこそ、父の形見を勤務中に着用するという設定が成り立つんですね。
G-1ジャケットが実際に飛行服として使用されたのは1950年代半ばまでであり、以降は地上(艦上)勤務時用の防寒ジャンパーとして使用されています。
必ずしも必要な装備品ではありませんが、予算が苦しい中にあっても、こういう「精神的装備品」を重要視し、調達を継続するところに、米海軍の強さの根源を感じます。
よく、「日本の精神主義がアメリカの物量主義に敗れた」というようなフレーズを耳にしますが、日本の場合はただの「強権主義」…言い換えれば「国家ぐるみのパワハラ」であり、従順な家畜を鞭で叩いて屠殺場に向かわせるような戦い方に、私は何の精神性も感じません。
それはさておき、2年ほど前に、トイズマッコイがマーベリックの父「デューク・ミッチェル」のG-1ジャケットを販売していました。
フィクション的要素を排除し、デューク・ミッチェルが実際に着用したG-1を想定するという、狂気の入り混じった逸品でした。
トイズマッコイ TYPE G-1 MIL-J-7823D " PHANTOM PHLYER "
このトイズのG-1は、何と1960年代の「D型(1967〜1971年)」を再現しています。
G-1系ジャケットのリプロ品で人気があるのは、WWⅡ時のM-422から1950年代のMIL-J-7823までであり、MIL-J-7823A(いわゆるA型、1961年製)以降は、あまり製品化されていません。
90年代の古着ブームの時は、「ビンテージとは1950年代以前のもの」という暗黙の了解があり、1960年代以降のものになると価値がガクッと下がりました。
よって、A型以降のG-1はあまりありがたみがなく、高いお金を払ってまでリプロ品を買いたいというニーズも無いので、トイズの判断を不思議に思ったのでした。
前置きはこの辺りにして、私のコレクションを紹介します。
G-1 MIL-J-7823D DSA100-68-C-1805 BRILL BROS.,INC.
パッチは一個しかついてませんが、とてもカッコいいので気に入ってます。
このG-1を購入した決め手は、右胸のVMA-214のパッチでした。
【VMA-214 THE BLACK SHEEPS】
1942年7月1日に海兵隊の戦闘飛行隊として設立。
1943年にはF4U-1/1Aコルセア戦闘機を配備し、ソロモン諸島を舞台に活躍しました。
同じF4U-1/1Aを配備する海軍のVF-17と共に、日本海軍航空隊最強と言われ、多数のエースパイロットを有するラバウルの零戦部隊と血みどろの戦いを繰り広げます。
旧マッコイファンにとって重要な三部作の一つである1994年の雑誌「B-3」において、WWⅡ時におけるVMF-214ブラックシープスと、その隊長であるジョージ・ボイントン少佐(28機撃墜)の活躍が記載されています。
VMF-214 86番機 ボイントン少佐機 F4U-1A “Lucybelle”
プラモデルの話になりますが、タミヤ模型から、F4U-1Aの決定版と言えるキットが、何と三種のスケール(1/32、1/48、1/72)で販売されています!
付属するデカールは、一番人気のVF-17「Jolly Rogers」、VMF-111、そしてVMF-214といったところですが、ボイントン少佐搭乗機(VMF-214 86番機)が作れるのは、1/72のキットのみなのでした……。
1/32のキットはVMF-214の883番機を作れるようになっています。YouTubeにはこの機体に搭乗しているボイントンの動画がありますが、撮影のために乗っただけのような気もします。
思い起こしてみれば、私も昔F4U-1Aのプラモを作ったときは、海賊旗がカッコいいVF-17の29番機を作りました。
VF-17の29番機、ゲップフォード大尉機(16機撃墜)。大体みんなこれを作るはず。
VMF-111の122番機を作る人も多そう。このマーキングは撃墜スコアではなく、爆撃回数である。よく見ると胴下に爆弾を搭載している。
VMF-214は多くの機種を運用した部隊です。任務に応じて部隊名が変わります。
黒い羊と12個の星のマーキング、「WE」のテールコードは、だいたい共通ですね。
【VMF-214時代】
・1942 F4F-3 Wildcat
・1943〜1944 F4U-1/1A Corsair
・1945 F4U-1D Corsair
・1945〜1953 F4U-4/4B Corsair
・1953〜1957 F2H-4 Banshee
【VMA-214時代】
・1958 FJ-4 Fury
・1958〜1961 FJ-4B Fury
・1962〜1964 A-4B Skyhawk
・1964〜1967 A-4C Skyhawk
・1967〜1970 A-4L Skyhawk
・1970 A-4E Skyhawk
・1970〜1972 A-4F Skyhawk
・1972〜1989 A-4M Skyhawk
・1989〜2022 AV-8B HarrierⅡ Night Attack
【VMFA-214時代】
・2022〜現在 F-35B LightningⅡ
F-35Bの部隊マークは外側のMRM扉にある↓
VMA-214は2015年から数年間、岩国に配置されていました。隊長は中佐で、125人の海兵隊員と6機のAV-8Bと当時の記事にありますので、かなり小さな部隊なんですね。
なお、ボイントンは戦後に大佐で退役し、1958年に自叙伝である「BAR BAR BLACKSHEEP」を発表します。
この物語は1976〜1978年にテレビドラマ化され、ロバート・コンラッドがボイントン役を演じました。
ジッパーはコンマーの真鍮製です。黒化処理をしていないので安っぽく見えます。
G-1のジッパーはA型から大型化しますが、ジッパーを隠す構造のゴートスキンと干渉するので、開け閉めしにくくなります。
裏地は緑と茶が混ざったようなグレーのナイロン製。
ウィンドフラップのUSNのパンチングは、下から上に読ませるタイプです。
なお、スタースポーツ社製のように、上から下に読ませるタイプもあります。
昔はタイプ毎にチンストラップの形状が違うとか言われていましたが、単なる各メーカーの個性のような気もします。あまり詳しくないので、よくわかりません。
明るいファーの色がいい感じです。
背中は普通のG-1ですね。このG-1の革は分厚くて弾力があります。
G-1のD型は、「FULLGEAR」によると1967年から1971年の間で、12回の契約があったようです。
メーカーと契約回数
・STAR SPORTSWEAR × 5回
・BRILL BROS × 3回
・THE MARTIN LANE × 2回
・GREGORY SPORTSWEAR × 1回
・PERRY SPORTSWEAR × 1回
STAR SPORTSWEARって戦時中にA-2ジャケットを作っていたメーカーですね。
あれっ? PERRY SPORTSWEAR…?
1945年に工場を畳んだはずだが……。
たまたま同名になっただけだと思うが、FULLGEARを見ても、他に納入した飛行服は見当たりません。
GREGORYの方は画像検索すると何件か引っかかるが、PERRYの方はまったく出て来ない…。
いわゆる「レア・コントラクト」かもしれないですね。
今回はこれで終わりです。
G-1は丈が長くて他の服とも合わせやすいのでおすすめです。
D型以降のG-1はビンテージ品であってもそんなに高くはないので、涼しくなったら古着屋さんを巡ってみるのも楽しいかと思います。
それでは、次回もお楽しみに!