読み切りなので、全員に公開します。
☆世界
私は今、机に向かっている。
勉強のためではない。
今、机の上には、白い画用紙が置かれている。
横には、鉛筆、消しゴム、ペン、インク、ポスターカラー・・・
私は今から、世界をこの紙に描く。
絵の世界は自由。
私の、想いを描くことができる。
でも、自分のためではない。
不特定多数の人のためでもない。
ある1人の男の子のために、私の世界を描く。
私の事を、一番想ってくれていた、大好きな彼のために・・・
彼・・・
高校のクラスメイト。
とても、大人しくて、あまり友達はいなかったみたいだ。
「寂しくない?」
彼に尋ねた。
「別に・・・」
「どうして?」
「愛と勇気が友達・・・」
「アンパンマンみたいだね」
彼は苦笑した・・・
「それに・・・」
「それに?」
彼はそのあと、何も言わなかった。
彼は絵がとても、魅力的だった。
いや、魅力的すぎた。
とても、繊細な絵だった。
なので、ビジネスには、正直向いていない。
傷ついてしまうだろう。
けなされるからではなく、修正という行為に・・・
「いいんだよ。ある方が楽しんでくれれば・・・」
「その人はだれ?」
彼は、答えなかった。
でも、それが誰なのかわかった。
女の勘は鋭いのだ。
今度は私が描こう。
私の大好きな、彼のために・・・
主人公は私と彼・・・
せめて、絵の世界では、彼といつまでもいたい・・・
「待っててね。今からふたりの世界だよ」