4人が練習を始めて数十分が経過した頃、どこからともなくピアノの音が聴こえてきた。
永田「キレイなピアノの音だな。」
下嶋「そうだね♪」
山田「誰が弾いてるんだろうな?」
福岡「女子だろ?男にこんな繊細なピアノ音は出せないよ。」
少しの間4人はピアノの音に聴き入っていた。そして、永田が提案を出す。
永田「あっ!この人にキーボードやってもらわない?」
永田の提案とは、今このピアノを弾いている人をバンドに誘い、キーボードを担当してもらう事だった。
下嶋「いいねそれ♪」
山田「この人の音が加われば、なかなかいいバンドになるだろうな!」
福岡「私達は男ばかり、紅一点の女子か…悪くないかもな。」
永田「この学校でピアノがある所は…音楽室か……ん?そうか、だから今日は音楽室使えなかったのか…」
4人は音楽室へ向かう。
向かっているうちに、このピアノの人が歌を歌っている事に気がついた。その歌は聴くからに女子の声で…音痴だった。
?「ホゲ~!!」
下嶋「…ピアノはすごく上手いのに…」
山田「……ヒドイな…この歌声…」
福岡「やはり女子か…だが、これは…」
永田「だんだん心配になってきたな…」
4人は音楽室に着くと扉の窓から中を覗いた。そこからピアノは見えなかったがピアノの横に座っていると思われる人影が見えた。そこには可愛らしいが音痴な女の子がいた。
4人はその歌声に絶句しながら見ていると、その女の子が4人の事に気がついた。
?「⁈キャー!!はじめちゃん!誰が覗いてる!」
4人「⁈」
女の子が叫ぶと、『はじめちゃん』と呼ばれた男子がピアノのある奥から出てきた。
國村はガラガラと勢いよく扉を開けると、
國村「こら!君達!そこで何をやってる!」
と、下嶋達に怒鳴った。
『國村 一』
3年D組の生徒。恋人を愛し過ぎている男子。
永田「うわっ!」
國村「いくら俺の千夏ちゃんが宇宙で一番可愛いからって、君達のようなどこの馬の骨だか分からない男達が見つめていい女子じゃないんだぞ!」
千夏「宇宙で一番可愛いって♪もう♪はじめちゃんったら~❤️」
國村「千夏ちゃ~ん❤️」
4人「………」
『春樹千夏(はるきちなつ』』
3年D組の生徒。恋人を愛し過ぎている女子。
音痴。
2人のイチャイチャぶりに4人は絶句する。
10分くらいイチャイチャしている2人に水を差すように下嶋が話しかけた。
下嶋「あの~…」
國村「なんだよ!まだいたのか…よ………あれ?どこかで見た顔…」
千夏「はじめちゃん!この人、生徒会長よ!」
國村「マジか…生徒会長が覗きなんて…世も末だな…」
下嶋「すみません…でも、ただ見てただけじゃないんです。」
國村「と、言うと?」
下嶋「君の彼女さんが弾いていたピアノが、とても美しいメロディーを奏でていたので、僕達のバンドに入ってもらいたいなぁって…」
下嶋の言葉を聞き、國村は険しい顔をする。そして、音楽室の中へ招き入れた。
國村は何も言わずにピアノの前に座り、弾き始める。
永田「あれ?この音…」
山田「俺達が聴いてた音だ。」
福岡「女子じゃなかったのか…まさか男子でここまで繊細な音が出せるとは…」
下嶋「すごい…」
國村が手を止めた。
國村「君達が聴いたピアノの音はこれかい?」
下嶋「そうです!すみません!僕はてっきり彼女さんが弾いているものだとばかり…」
千夏「私の名前は、『千夏』って言うの!名前で呼びなさい!」
國村「千夏ちゃん❤️」
千夏「な~に?♪はじめちゃん❤️」
山田「それ、もういいから!」
千夏「ちっ!」
下嶋「はは…國村くん。そんな素晴らしいピアノを弾ける君に頼みたい事があるんだ。」
國村「………バンド…かい?」
下嶋「うん…」
國村は腕組みをして考える。実は國村も『音楽コンテスト』に千夏と組んで出る予定でいた。だが、バンドにも興味があった。両方を頭の中の天秤にかける。するとすぐさま千夏が勝った。國村は千夏を一目見ると、下嶋の誘いを断る事に決めた。
千夏は國村から聞いていた。バンドに興味がある事を…。今回の誘いを受けると思っていた。だが、國村が千夏を一目見る。千夏にはその瞳が悲しげに見えていた。『もしかしたらはじめちゃんは私のせいでバンドを諦めるかもしれない!』そう思った千夏は口を開く。
國村「下嶋く…」
千夏「はじめちゃ…!」
國村「あっ!ごめん千夏ちゃん!先どうぞ。」
千夏「ううん!はじめちゃんから言って…」
國村「いや、千夏ちゃんから…」
千夏「はじめちゃんから…」
國村「千夏ちゃん…」
千夏「はじめちゃん…」
國村「千夏ちゃん❤️」
千夏「はじめちゃん❤️」
山田「いや!本当にもういいから‼︎」
千夏「ちっ!ぼっちが…」
山田「あん💢今なんつった!このアマ!」
永田・下嶋「まぁまぁまぁ‼︎」💦
永田と下嶋はキレている山田を抑えている。
抑えながら下嶋が言った。
下嶋「國村くん!返事を早く!」
國村「…下嶋くん、すまない。俺…」
千夏「はじめちゃん!…私の事はいいから、バンド…やりなよ…」
國村「千夏ちゃん…でも…」
千夏「いいの。私、どうせ………音痴だし…。コンテスト出場しても恥かくだけだし…ね…」😢
國村「千夏ちゃん⁈………分かったよ…」
國村は千夏の思いを知る。國村には千夏の歌声が音痴どころか、人魚の歌声のような美しい声に聴こえていた。國村は衝撃を受ける。千夏の口から自分が「音痴」だなんて言葉を聴かされ。國村は千夏の歌声を全校生徒の前で披露しようとしていた。その事もショックだった。自分の愛してやまない大事な恋人を全校生徒の前で恥さらしにしようとしていたなんて!國村は自分の愚かさを知り、千夏の言う通りバンドに入る事を決めた。
千夏「うん…頑張ってね!はじめちゃん❤️」
山田「音痴な事、自分で分かってたんだな。w」
千夏「黙れぼっち!」
山田「💢」
國村「よろしく!下嶋くん!」
こうして國村がバンド仲間に加わった。
つづく