事業所が支店・営業所を設置した時、事業所の名称・所在地に変更があった時、事業主の氏名・所在地に変更があった時、事業の種類及び概要に変更があったとき、保険の事務手続きを説明します
Ⅰ、 事業所が支店・営業所等を設置したときは労働保険の手続きがあります
支店事業所・支店営業所の設置の場合であっても、労働保険新規加入手続きが必要となります
雇用保険は被保険者に関する届け出その他手続きを、事業所ごとに処理しなければなりません、本社、営業所、工場などはそれぞれ別個の事業所として扱われます
労働者を一人でも雇用しますと、加入義務がある。それが、労働保険です。会社や法人を立ち上げた新設法人に限らず、個人事業でも加入義務があります。
さて、労働保険とは労災保険と雇用保険の総称ですが、管轄の役所が労働基準監督署と公共職業安定所になりますのでそれぞれ手続きが必要です。
労働者の取り扱いについて、パート及びアルバイトの取り扱いについては、労災保険と雇用保険では、若干の違いがあります
労災保険では、短時間労働者(パートタイマー)とアルバイトはすべて労働者として労災保険の対象者となります
雇用保険では、短時間労働者は、次の三つの要件を満たす者は被保険者となります
①31日以上の雇用の見込みがある②1週間の所定労働時間が20時間以上であること③賃金や労働時間、その他労働条件が就業規則、雇用契約書、雇入通知書等に明確に定められていること 以上の要件をすべて満たしていれば被保険者となります
アルバイトは、反復継続して就労せず、その者の受ける賃金が家計の補助的なものは、雇用保険の被保険者となりません
労働保険加入手続の流れ
1 労災保険加入(労働基準監督署での手続き)
最初に①「労働保険関係成立届(様式第1号)」 を業種に応じて、以下の機関に提出します。
・農林水産業・建設業・私立学校の事業・都道府県及び市区町村の行う事業 (二元適用事業)
(管轄の労働基準監督署及びハローワーク双方に提出)
・上記以外の業種 (一元適用事業)
(管轄の労働基準監督署)
保険料の徴収方法を労災と雇用の両保険を併せたものを一元適用事業、それぞれ分けて徴収するものを二元適用事業といいます
この手続きで労働保険(労災保険)が成立した確認がなされるとともに、納めるべき労働保険料を申告し、後日、金融機関等で納付します。②(労働保険概算保険料申告書(様式第6号)の提出)
保険関係が成立した翌日から50日以内に「労働保険概算保険料申告書」を提出するとともに保険料を納付します
労働保険料は、その年度の概算保険料を見込で払い、翌年度にまたその年度の概算保険料とあわせて確定保険料を納付します。仮払いと確定精算のシステムです。(労働保険確定保険料の申告・納付、次の年度で支払い)
労働基準監督署での手続きは、①と②及び事業所の確認ができる書類(*、いずれか一つ、コピー可)を提出します
(*)事業所等の賃貸契約書、営業許可書、税務署に提出済みの事業開始等申告書、税務署に提出済みの給与支払事業所の開設届出書、公共料金領収書
2 雇用保険加入
次に下記の提出書類及び確認資料を管轄のハローワークへ提出します。
雇用保険(公共職業安定所での手続き)一元適用事業と二元適用事業と若干異なります
一元適用事業の提出書類
①雇用保険適用事業所設置届
②雇用保険被保険者資格取得届
③労働保険関係成立届事業主控(労働監督署で受理済みのもの) - 先に監督署で手続きを済ませます
④労働保険料概算申告書の監督署へ提出後の事業主控 - 先に監督署で手続きを済ませます
⑤事業実態を確認できるもの(*上記と同じ、賃貸契約書、営業許可証、事業開始等申告書、給与支払事業所の開設届出書、公共料金領収書、コピー可)
法人の場合、登記簿謄本履歴事項全部証明書(コピー可)
個人事業の場合、事業主の住民票または運転免許証(コピー可)
⑥雇い入れ年月日が確認できるもの
出勤簿又はタイムカード・労働者名簿(コピー可)
⑦雇用保険被保険者証
被保険者証が無い場合、あるいは被保険者番号が不明な場合、以前の勤務先名称、加入期間等を資格取得届の備考欄に記入してください
⑧その他
・フル勤務の勤務時間より少しでも勤務時間が短い労働者の場合は、雇い入れ通知書・雇用契約書等(コピー可)が必要です
・登録型派遣労働者の場合派遣元管理台帳も必要です
・遡って雇用保険に加入する場合は、雇い入れ年月日から提出日現在までの賃金台帳(給料明細書)が必要です
また、2年以上前から勤めている労働者がいる場合、雇用保険の資格取得日は2年前の日になり、労働保険料は2年前の年度の属する4月からとなります
・印鑑やゴム印など
二元適用事業の提出書類
①雇用保険適用事業所設置届
②雇用保険被保険者資格取得届
③労働保険関係成立届(雇用保険料分)
④労働保険料概算申告書(雇用保険料分)
⑤事業実態を確認できるもの(*上記と同じ、賃貸契約書、営業許可証、事業開始等申告書、給与支払事業所の開設届出書、公共料金領収書、コピー可)
法人の場合、登記簿謄本履歴事項全部証明書(コピー可)
個人事業の場合、事業主の住民票または運転免許証(コピー可)
⑥雇い入れ年月日が確認できるもの
出勤簿又はタイムカード・労働者名簿(コピー可)
⑦雇用保険被保険者証
被保険者証が無い場合、あるいは被保険者番号が不明な場合、以前の勤務先名称、加入期間等を資格取得届の備考欄に記入してください
⑧その他(印鑑やゴム印など)
・フル勤務の勤務時間より少しでも勤務時間が短い労働者の場合は、雇い入れ通知書・雇用契約書等(コピー可)が必要です
・登録型派遣労働者の場合派遣元管理台帳も必要です
・遡って雇用保険に加入する場合は、雇い入れ年月日から提出日現在までの賃金台帳(給料明細書)が必要です
また、2年以上前から勤めている労働者がいる場合、雇用保険の資格取得日は2年前の日になり、労働保険料は2年前の年度の属する4月からとなります
・印鑑やゴム印など
Ⅱ、事業所の名称又は所在地、事業主の氏名又は所在地、事業の種類及び概要に変更があったとき
1、労働基準監督署での手続き
①労働保険名称、所在地変更届(様式第2号)及び変更があったことを確認できる書類(変更後のもの)の提出が必要となります
法人の場合、登記簿謄本履歴事項全部証明書(コピー可)
個人事業の場合、事業主の住民票または運転免許証(コピー可)
事業所等の賃貸契約書、
営業許可書、
税務署に提出済みの事業開始等申告書、税務署に提出済みの給与支払事業所の開設届出書、
公共料金領収書又は請求書、
他の社会保険の適用関係書類
2、公共職業安定所での手続き
二元適用事業以外すべての事業(提出書類)
①雇用保険事業主事業所各種変更届
②労働保険名称、所在地変更届の監督署へ提出後の事業主控(先に監督署で手続きを済ませます)
③変更があったことを確認できる書類(変更後のもの)
法人の場合、登記簿謄本履歴事項全部証明書(コピー可)
個人事業の場合、事業主の住民票または運転免許証(コピー可)
事業所等の賃貸契約書、
営業許可書、
税務署に提出済みの事業開始等申告書、税務署に提出済みの給与支払事業所の開設届出書、
公共料金領収書又は請求書、
他の社会保険の適用関係書類
変更事項が確認できるものに限ります、一つの書類で変更事項が確認できない場合は複数の書類を提出してください(コピー可)
④その他
印鑑やゴム版等
二元適用事業所の手続き(提出書類)
①雇用保険事業主事業所各種変更届
②労働保険名称、所在地変更届(雇用保険料分)
③変更があったことを確認できる書類(変更後のもの)
法人の場合、登記簿謄本履歴事項全部証明書(コピー可)
個人事業の場合、事業主の住民票または運転免許証(コピー可)
事業所等の賃貸契約書、
営業許可書、
税務署に提出済みの事業開始等申告書、税務署に提出済みの給与支払事業所の開設届出書、
公共料金領収書又は請求書、
他の社会保険の適用関係書類
変更事項が確認できるものに限ります、一つの書類で変更事項が確認できない場合は複数の書類を提出してください(コピー可)
④その他
印鑑やゴム版等
Ⅲ、事業所の所在地が県内移転及び県外移転したとき
監督署・安定所の管轄区域外へ所在地が変更した場合
県内移転
一元適用事業
先に 移転後の所在地を管轄する監督署で、労働保険名称、所在地変更届(様式第2号)を提出します
その後、移転後の所在地を管轄する安定所で
①雇用保険事業主事業所各種変更届
②労働保険名称、所在地変更届の監督署へ提出後の事業主控(先に監督署で手続きを済ませます)
③変更があったことを確認できる書類(変更後のもの、コピー可) を提出します
法人の場合、登記簿謄本履歴事項全部証明書(コピー可)
個人事業の場合、事業主の住民票または運転免許証(コピー可)
事業所等の賃貸契約書、
営業許可書、
税務署に提出済みの事業開始等申告書、税務署に提出済みの給与支払事業所の開設届出書、
公共料金領収書又は請求書、
他の社会保険の適用関係書類
変更事項が確認できるものに限ります、一つの書類で変更事項が確認できない場合は複数の書類を提出してください(コピー可)
二元適用事業は、移転後の所在地を管轄する安定所へ
①雇用保険事業主事業所各種変更届
②労働保険名称、所在地変更届(雇用保険料分)
③変更があったことを確認できる書類(変更後のもの)
法人の場合、登記簿謄本履歴事項全部証明書(コピー可)
個人事業の場合、事業主の住民票または運転免許証(コピー可)
事業所等の賃貸契約書、
営業許可書、
税務署に提出済みの事業開始等申告書、税務署に提出済みの給与支払事業所の開設届出書、
公共料金領収書又は請求書、
他の社会保険の適用関係書類
変更事項が確認できるものに限ります、一つの書類で変更事項が確認できない場合は複数の書類を提出してください(コピー可)
県外移転の場合
一元適用事業所は
まず、移転前の所在地を管轄する監督署で、労働保険料の確定申告を行います
先に、 移転後の所在地を管轄する監督署で①労働保険関係成立届(様式第1号)②労働保険概算保険料申告書(様式第6号)を提出します
その後、移転後の所在地を管轄する安定所へ
①雇用保険事業主事業所各種変更届
②労働保険関係成立届の監督署へ提出後の事業主控(労働監督署で受理済みのもの) - 先に監督署で手続きを済ませます
③労働保険料概算申告書の監督署へ提出後の事業主控 - 先に監督署で手続きを済ませます
③変更があったことを確認できる書類(変更後のもの)
法人の場合、登記簿謄本履歴事項全部証明書(コピー可)
個人事業の場合、事業主の住民票または運転免許証(コピー可)
事業所等の賃貸契約書、
営業許可書、
税務署に提出済みの事業開始等申告書、税務署に提出済みの給与支払事業所の開設届出書、
公共料金領収書又は請求書、
他の社会保険の適用関係書類
変更事項が確認できるものに限ります、一つの書類で変更事項が確認できない場合は複数の書類を提出してください(コピー可)
二元適用事業は
先に、移転前の所在地を管轄する安定所で、労働保険料(雇用保険料分)の確定申告を行います
その後、移転後の所在地を管轄する安定所へ
①労働保険関係成立届(様式第1号)(雇用保険料分)
②労働保険概算保険料申告書(様式第6号)(雇用保険料分)
③雇用保険事業主事業所各種変更届
④変更があったことを確認できる書類(変更後のもの) を提出します
法人の場合、登記簿謄本履歴事項全部証明書(コピー可)
個人事業の場合、事業主の住民票または運転免許証(コピー可)
事業所等の賃貸契約書、
営業許可書、
税務署に提出済みの事業開始等申告書、税務署に提出済みの給与支払事業所の開設届出書、
公共料金領収書又は請求書、
他の社会保険の適用関係書類
変更事項が確認できるものに限ります、一つの書類で変更事項が確認できない場合は複数の書類を提出してください(コピー可)
Ⅳ、労働保険の申告・納付に関する事務を本社などでまとめて処理したいとき
労働保険料では、一つの会社でも支店や営業所等個々に申告納付を行うことがありますが一定の要件を満たす継続事業の場合は、労働保険継続事業一括認可・追加・取消申請書(様式第5号)を指定事業(本社など)を管轄する監督署(一元適用事業)又は安定所(二元適用事業)へ提出し、認可を受けた場合は、支店や営業所等の労働保険の申告納付に関する事務処理を指定した一つの事業所(指定事業:本社など)にまとめて処理することができます
提出先、 一元適用事業は指定事業(本社など)を管轄する監督署、二元適用事業は 指定事業(本社など)を管轄する安定所へ提出します
Ⅴ、雇用保険に関する事務を同一企業内の他の事務所に含め処理したいとき
雇用保険の事務処理は原則として事業所(出張所・営業所など)ごとに行いますが、人事、経理、経営上の指揮、監督等において独立していない出張所・営業所であって、雇用保険に関する事務処理能力が無い場合は、出張所・営業所等を管轄する公共職業安定所に「雇用保険事業所非該当承認申請書(4枚1組)を提出し、承認を受けた場合は同一企業内の他の事業所(通常の場合は直近上位の事業所)に包括して処理することができます
その他の添付資料は、
事業所非該当承認申請書に関する調査書
人事、経理、経営上の指揮、監督等において独立していない事が客観的にわかるもの(場合に応じて)
施設(出張所・営業所)の組織図や配置図
継続一括申請書の事業主控 等
不承認の場合は、施設(出張所・営業所)を管轄する安定所に「雇用保険適用事業所届」を提出し、雇用保険の事務処理を事業所(出張所・営業所)として行うことになります
Ⅵ、事業主が行うべき労働保険関係事務を工場長、支店長等に代理させるとき、またはその代理人を解任したとき
事業主は代理人を選任して、事業所が行うべき労働保険に関する事務の全部又は、一部を処理させることができます また、選任された代理人の職名、氏名、印鑑又は代理事項に変更があったときにも、「代理人選任・解任届」(様式第23号)をそのつど速やかに提出します
具体的な労働保険関係事務とは、
労働保険・一般拠出金の申告・納付に関する事務
労災保険関係に関する各種届出に関する事務
雇用保険被保険者関係に関する各種届出に関する事務
代理人選任・解任届(様式第23号)の提出先
一元定期用事業
先に、所在地を管轄する監督署へ 「労働保険、一般拠出金、労働者災害補償保険代理人選任・解任届」と事業主控(監督署・安定所共通)を提出します
その後、所在地を管轄する安定所へ「雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届」と事業主控(監督署・安定所共通)を提出します
二元適用事業
所在地を管轄する安定所へ 5枚のうち「労働者災害補償保険代理人選任・解任届」(2枚)を除きすべてを提出します