増渕邦治全仕事
ART DIRECTION vol-01・雑誌広告006
my belle epoque & nostalgie
『ジュエリーの場面(シーン)(1)』
ジュエリーの広告に果たしてコピーは必要か、
という議論をコピーライターやカメラマンとしたことがあります。
ジュエリーそのものが全てを語っているから不必要という意見と
ビジュアルだけではジュエリーを語れないから必要という意見があり
結局結論は出ませんでした。
私の立場はアートディレクターでデザイナーでしたから
大いに悩みました。
その当時の海外ブランドの広告はヴィジュアル写真と社名ロゴのみ。
カルティエやティファニーの広告が象徴しています。
しかしそこに何か一つ物足りなさを感じていたことも事実でした。
MIKIMOTOは果たして一般的に一流ブランドとして認知されているのか。
そう思いたい気持ちと、
MIKIMOTO PERALとMIKIMOTOの差は歴然としてあるのではないか。
今やろうとしているのは真珠店ではなく宝石店の広告なのだから、
という葛藤があったのです。
これが私が抱えていた「ブランディング」の本質でもありました。
この年は広告としての対外的な評価はあまり高いものではありませんでしたが、
ジュエリーの足りない部分をコピーで語らせるというアイデアは
私自身はかなり満足のいく仕事でした。
1975年から約10年MIKIMOTOのメインの仕事を担当し
ほぼやりたいことをやってきた
充足感とも言えるものだったような気がします。
