宝石箱の片隅の呟き
人生をほんの少しだけ面白く楽しくする法・No.0018





“死にたくはないが生きたくもない”


才能がないなら努力するしかない。
努力をしても必ず報いられるとは限らないけれど、
それ以外に方法はないから精一杯努力をする。
しかし努力には数字的な裏付けはない。
どこまでやったら合格なのか誰もそれを知らないし見えない。
そして自分さえも分からないから、
途中で挫折してしまう。
私が時々行っている顧問先の会社で、これと似た事件があった。
ある社員がいくら努力しても報われないと思い込んで、
鬱状態になったのだ。
その人は結局無断で会社を休み退職してしまった。
事件と言える程の事ではないが、
何も手を差し伸べてやる事ができない自分に腹が立った。
これが昔だったら、少しは展開が違ったかも知れない。
しかし今は、
一線を退いて時々請われて商品開発のアドバイスをしたり、
道楽でジュエリーの歴史研究をしている身なので、
何の権限も力もない。
ただただ本人の愚痴や泣き言を聞いてやるしかない。
しか当人からは何の連絡もなく、突然辞表を出したのだ。
それを側で眺めているしかできない自分に腹が立ったのだ。
それも仕方がないのだ、と自分に言い聞かせ、
悔しさを黙って枕を濡らすしかなかった。