[ジュエリービギナーのための歴史入門]

 

AZCジュエリーの歴史研究note029

 

 

 

 

 

 

『アンリ・ヴェヴェールの作品から』

 

この画像はヴェヴェールが1910年に制作したものですが、

ヴェヴェールのアール・ヌーヴォーの作品を見慣れている人にとっては

些か奇異に感じるのではないでしょうか。

まさにアール・ヌーヴォーから一歩踏み出して、

エドワーディアン、ガーランドを意識した印象はあります。

一人の作家が何十年と云うスパンで仕事をしていると、

時代の変化にどう対応していったら良いか

悩んだり迷ったりしている事がこの作品にも見て取れるのです。

ヴェヴェールはジュエリー作家であると同時に

ジュエリーの歴史の研究者でした。

彼が著した「French Jewelry of the Nineteenth Century」は

とてもジュエリー作家が制作の合間に纏めたとは思えない

濃く深い内容になっています。

この本はある意味私の座右の書として

いつもデスクの側に置いて眺めています。

恐らくヴェヴェールはジュエリーの歴史を理解し

その上で自分の作り出すジュエリーを

模索していたに違いありません。

歴史という存在は、創作においてもビジネスにおいても

不可欠なものである事が解ります。