宝石箱の片隅「深夜のモノローグ」・no.0030

 

 

 

『良いものは時代を超えて古びない』

 

 

ジュエリーに関わらず、これは或る意味真実だと思っています。

それを学んだのはミキモトでの22年間でした。

独立してから、メーカーや卸、小売店との付き合いの中で

其の事はより一層鮮明になりました。

ミキモトの製品は高い、と言われますが、高いだけの努力をしているからです。

ブランドの名前だけで商売ができるほど世の中は甘くない。

しかし業界の実態は私が身につけた意識とはかなり隔たりがありました。

恐らくこの構造は今でも同じではないかと思います。

安いのには安いだけの、高いのには高いだけの理由があるのです。

でも世の中をうまく泳いでいくためには正論ばかりでは戦えないのです。

例えばモノ作りで、見えないところには手を抜いても良い、

という不文律があるようですが、これなどは典型的な例でしょう。

まだミキモトに在籍していた時に、銀座のブランドショップに行き

其の店に置いてある最高のジュエリーを見せて貰いながら、

ジュエリーの横と裏側ばかりをみていたら

マネージャーが来て不審そうに尋ねました。

「お客様、当店の品物に何かご不信でも」

私はただ一言「目の保養をさせて貰いました」と言って店を出ました。

恐らく私の意図は理解されなかったのだと思いました。

ジュエリーの裏を見るというのは、

まともな作家であれば誰でも知っている事です。

確かに流行やその時代で意匠や技法に変化は見られますが

ジュエリーは基本的にコンサバティブなものだと思っています。

良いものは時代を超えて古びないのです。

このことはアンティークジュエリーの歴史を学んで確信に変わりました。

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