ますぶちStyle/宝石箱の片隅

 

 

“ジュエリーの事は風に訊け” vol-23

 

 

 

ちょっと古い話で恐縮だが、第8回ジュエリーの歴史研究『アーツ&クラフツからアール・ヌーヴォーへ』は6月29日に大阪、7月4日名古屋、7月7日甲府そして7月29日東京という日程で終了した。

いつも言っていることだが、ジュエリー業界で歴史について学ぶところと学ぶ人は数少ないだろう。

歴史を学んでも直ぐにはビジネスに役に立たない(G/Gの資格にしても同じだが)けれど、歴史はなんとなく印象が希薄である。

しかし、ジュエリーがますますグローバル化していくことを考えれば、歴史の位置付けはかなり重要である。

ということを叫びながら、4箇所の勉強会をどうにかこうにかクリアーした。

特に大阪では新しい方が2名参加されたことは特筆に値するだろう。

1人はインド人で10年ほど日本で宝石ビジネスをされている。もちろん日本語はペラペラで、私の難解な日本語もほぼご理解いただいたようだ。

もう一人は本当に久しぶりなのだが、大阪で宝石を中心に勉強会を実践している方である。

ジュエリーの歴史を真剣に学ぼうとする方は意外に少なく、例えば何年か前にカタールと日本の友好10周年を記念して兵庫県立美術館で「真珠展」が、そして3年前には滋賀県にあるMIHO MUSEUMで『JEWLS・ムガール皇帝とマハラジャの宝石展』が開催されたが、私の周囲のジュエリーに従事されている人たちは、そのことを知らなかったし、勿論観に行ってもいない。

行かなかった、或いは知らなかった理由は「仕事が忙しくそれどころではなかった」というのだが、こういう理由を堂々と述べる人は何をか言わんや、である。

これが現在の日本のジュエリー業界の現実であるし、今更それを嘆いても始まらないのだ。

確かにジュエリーの歴史を学んでも、売上にはすぐに貢献しないかも知れないが、基礎教養というか、ジュエリーや宝石を扱う人にとっては不可欠な要素である。にも関わらず歴史認識がごく一部の人を除いてはほとんど理解されていないというのは、やはりどこかがおかしいのである。

このような状況を憂いるのは私1人ではない。そして客観的にみてはっきり言えることは日本のジュエリー業界の全体の質の低下に繋がってくるのだ。

それが端的に現れるのは、接客の場面であろう。

どの小売店でも自店の顧客の中でSAにランクされるのは、私達よりもはるかに上の生活をしている人達で、その店のレベルを表す基準になったりする。

私が知っているスリランカやインド、バンコクのジュエリー従事者の方達と話をしていてもそれが分かるのだ。

彼らはそれほど深く知っていないかも知れないが、少なくても私達よりは持っている知識が上だろう。

私だってどれほどの知識があるのか怪しいものだが、歴史を学ぼうとする姿勢は持っているし、それらを1人でも多くの人と共有したいと願っている。

西洋美術史、西洋建築史、そして何よりも装飾芸術の分野の中でのジュエリーの存在はとりもなおさず、日常の中でのジュエリーの位置付けに繋がってくる。