ますぶちStyle・パイプの煙/悠々として急げ[vol.122]

『安易に色眼鏡(偏見)で人を見ないこと』




人間はどうしても無意識のうちに他人を色眼鏡(偏見)で見てしまう事がある。
それがあたかも世間一般のジョーシキであるかのような判断に基づくものだが、安易な見方というものは相手に人に対しても失礼なことになる。
本人は失礼に当たらないように丁寧な言葉遣いはするけれど、そういう態度をとればとるほど却って慇懃無礼にならないか。
実際、ここの判断は難しいものがある。
物事というものは常に相反する両方の意味があるからだ。
従って立ち位置によってまるで相対することになってしまうのだ。



色眼鏡もこういった場合は笑えない。
ずいぶん昔のことになるが、私は目が悪いので普段から色付きのメガネをかけていることが多い。
ある時知人と帝国ホテル本館のスカイラウンジで打ち合わせをした。
確か夜の8時頃だったと記憶している。
席について飲み物を注文してしばらくすると、マネージャーらしき人が私のところに来て「お客様申し訳ありませんがサングラスを外していただけないでしょうか」と言った。
私は「これはサングラスではありませんよ」。
マネージャー「当店ではサングラスをした方は入店をお断りになっております」。
知人「この店の責任者はあなたですか」。
マネージャー「いえ違いますが」。
知人「では責任者を呼んでください。私はこういう者です」と言って名刺を出した。
マネージャーは名刺を受け取ると奥の方に去った。
しばらくして責任者らしき人が来ると「私どもの者がお客様に対して大変失礼足しました。申し訳ありませんでした」。
知人「あなたはどういう教育をしているか知りませんが、色眼鏡をかけた人はみんな変な人(ヤクザという意味)にしてしまうのですか」。
責任者「いえ決してそのようなことは」。
知人「現にそういう態度を取っているじゃないか。この店の決まりだとはっきり言ったよ」
責任者「大変申しわけありません」
私「もういいよ。でも気分が悪いから場所を変えよう」
知人「あなたの名刺をください。このことは支配人のKに言っとくよ」。
現在は知らないがこれが一流ホテルの対応だった。
知人はホテルのトップ何人かと交流があり、私よりも知人の方が憤慨していた。
これには異論がある方もいらっしゃると思うが、私は宝石などを見る場合を除いて普段は色付き度付きのメガネをかけることが多い。



孫の保育園の送り迎えでこんなことがあった。
保育園に行くと「あゆみちゃんのおじいちゃんはどうして色のメガネをかけているの?」と言われた。
理由をきちんと説明すると、以降親しみを持って迎えてくれるようになった。
私の顔を見ると誰彼となく声をかけてくる。
「ボク、こんなもの作ったよ」「わたしの見て」



世間にはいろいろな事情の人がいる。
ホテルでの一件も知人がいたから良かったけれど、私一人だったらどうなっていたか。
極力誤解を招かないようにしなければならないが、安易に外見だけの色眼鏡で見て判断することはやらないことだ。